宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

飛龍つかさ退団ショックでファンの魂が彷徨く



『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』


白状します。私は漢字が苦手です。


タイトルを


『じゅんれいのとし~りすと・ふぇれんつ、たましいのさすらい


って読んでいました。


『じゅんれいのとし~りすと・ふぇれんつ、たましいのほうこう


らしいです。


彷徨(ほうこう) の意味


当てもなく歩き回ること。さまようこと。


フランツ・リストことリスト・フェレンツの魂が、当てもなくさまようお話なんですね。


キャストに世界史の教科書でおなじみの面々の名前がありますが、脇の話が多すぎになってストーリーの核までも当てもなく彷徨わないでね。


では、クイズ。



「彷徨く」って書いてなんて読む?






















答え


「彷徨く」って書いて「うろつく」ですって。





ふう。カラ元気を出してふざけてみても、やっぱり寂しいよ、飛龍つかささん。普段、どうでもいいことばかり饒舌な管理人も、ショックで言葉が上手く出ません。




「飛龍つかさ」という芸名からして、龍が飛んで世界を司るような、「攻め」の芝居かと思いきや、


飛龍さんの最近の舞台姿を思い出すと、


『銀ちゃんの恋』の、スター銀ちゃんを崇拝する大部屋俳優ヤス、


『冬霞の巴里』の、兄を殺した(と義理の息子が信じている)警視総監ギョーム、


どの名セリフをしゃべっている時、というより、目を伏せて相手の言葉を「受けて」いる時の芝居が印象的でした。


芝居は「攻め」だけでは成り立たない。


優勝チームに名捕手あり。飛龍つかさは野球でいう「リードの上手い」名キャッチャーだったと思います。


名キャッチャーの条件は


・投手を気持ちよく投げさせる
・リードにメリハリがある
・状況判断がしっかりできる
・投手の性格と投球の特長を理解している



『銀ちゃんの恋』の成功の立役者は、名キャッチャー飛龍つかさだと思います。


ヤスって、いわゆる「打てる捕手」でないと務まらない難役だと思います。


主役の銀ちゃんを演じる水美さんは、演技派と名高い月城さんや風間さんとは、また違う特性のスター。


小夏の 星空 美咲さんは、新人公演ヒロインもまだなのに、いきなり「落ちぶれた女優」役に挑むという、どんだけスパルタ教育!な状態。


飛龍さんのヤスは、野球でいうプレーイングマネージャー(選手兼任監督)のようでした。


いったん幕が上がれば、演出家は板の上に上がれないけれど、


飛龍さんは板の上の役者兼演出家として、相手の演技の受けが上手くて、相手に心置きなく芝居をさせて、作品世界から外れないようにセリフを返すリードが上手かったと思います。



彼女の最後のお役は、ダグー伯爵。ヒロインの星風さんがマリー・ダグー伯爵夫人 ですから、妻を年下のピアニストに寝取られるお役ですね。


愛の国フランスでは、「寝取られ男」を表すフランス語の「コキュ」 (cocue)という言葉に活用形があるそうで、



コキュ - 浮気されていることを知らない。
コルナール - 浮気されて、激怒している。
コルネット - 浮気されていることを知っていても、泰然自若としている。


飛龍つかささんのダグー伯爵は・・・コルネットのような気がします。