極美が真の美を極めた男ロセッティに挑むベアタ・ベアトリクス先行画像
〇、◇、△
先行画像に続き、本ポスターも複雑な構造ですね。
背景の車輪のような模様と、舞空が広げる扇の弧が呼応する。
礼と舞空は、お互いの顔を見ていないように見えて、
舞空の体勢のつくる正三角形と、画面上部に掲げた礼の右手が、礼の顔と舞空の顔を引き上げて構成する正三角形。
2つの円環と三角形を、礼の垂直に掲げた左手が繋いで、3つ目の正三角形。
幾何学構成が、無言の画面に、華やかな舞曲のリズムを刻む。これぞグラン・カンタンテ!
汚く、悪しく、醜い女性遍歴から、真の美を極めた絵が生まれたんだって
極美の衣装の色合いは、ロセッティの代表作「ベアタ・ベアトリクス」の緑、黄金色、赤と色合いを合わせているね。
公演タイトルになっている『ベアタ・ベアトリクス』のモデルは、ロセッティの妻エリザベス。
史実ベースの物語とすると、ちょっと検索すれば、ロセッティがこの絵を描くに至った経緯はすぐわかりますが、まんまネタバレになってしまいますので・・・
まあ、
清くも、正しくも、美しくもない女性遍歴である。
週刊文春もドン引きレベルの、汚く、悪しく、醜い女性遍歴から、こんな美しい絵画を生み出し、
亡き妻の面影に、絵画史に燦然と輝く玉座を捧げた男、ロセッティ。
彼は文才もあり、詩人の一人としても有名です。
ロセッティ作「恋の玉座」(抜粋)
”黄金の髪のひとすじを肩に残し、
死出のかんざしと、いつもいつも、触れれば落ちそうな花を編む命。
恋の玉座はそうは言っても、そこには無くて、空遠く。
出会いと別れのつむじ風の、立ち迷うあたりを離れていく。”
ロセッティはこんな美しい詩をたくさん書いて、妻の墓に納めたのですが、
現代にこのようなポエムが伝わっているということは・・・
ロセッティ:「あのポエム、妻の墓に埋めちゃったけど、惜しかったな。会心の出来だったのに。あれ売ったら儲かるよな」
・・・妻の墓を掘り返し、ポエムを回収して出版したそうです。
小池先生がよく引用するシェイクスピアの
「きれいはきたない、きたないはきれい」
とはよく言ったものですね。
妹のクリスティーナ・ロセッティも有名な詩人で、こんなお兄ちゃんに似ず、信心深い女性で、奴隷制や売春による性的搾取、動物実験に反対する真面目な人だったそうです。
清らかな妹の詩を元にした童謡「風」
誰が風を見たでしょう♪
風 / 歌:なげのあやか
歌詞(訳詞:西條八十)
誰が風を見たでしょう
僕もあなたも見やしない
けれど木(こ)の葉をふるわせて
風は通りぬけてゆく
誰が風を見たでしょう
あなたも僕も見やしない
けれど樹立(こだち)が頭をさげて
風は通りすぎてゆく