宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

ギャッビーにHipHop!王家御園座ラダメスの二の舞の懸念




『グレート・ギャッビー』にはガチのHipHop演出があるのね




夢奈瑠音

お稽古も中盤となり、ひと場面を残して1幕がほぼ完成しました☆

既に1幕だけでも、華やかなパーティーやシックなタンゴなど、月組の魅力が溢れています!!いよいよAKIHITO先生振り付けのお稽古も本格的に始まります☆

2022年版『グレート・ギャツビー』完成に向け、専科のお二方のお力をいただき、熱く熱くお稽古に励んでまいります!!


古き良き1920年代、ジャズエイジ華やかなりしニューヨークが舞台の『グレート・ギャッビー』華やかなパーティーやシックなタンゴに、HipHop!


ダンサー/振付家AKIHITO先生は、日本HipHop界の若きレジェンド。


ヒップホップダンサー 集団「ENcounter ENgravers」を率いて、振付作品コンテスト『Legend Tokyo Chapter.6』では、審査員全員から1位票を獲得し優勝。



攻撃的でスキルフルなダンスと、ストリートダンスの枠に収まらない発想力を武器に、現在は大型ミュージカルやアーティストLIVE、企業イベントでの振付を担当するなど、幅広い活動を展開中だそうです。



『Legend Tokyo Chapter.6』優勝作品「オノマトペ」

Legend Tokyo Chapter.6 PERFECT WINNER!! | ENcounter ENgravers | "オノマトペ -Onomatopoeia-"


そうか、HipHopってオノマトペのことじゃんね!


ヒップホップダンサーの兄ちゃんが嫌がりそうな「真面目に制服を着ている学生」「教室での授業風景」までHipHop風に戯画化したり、動きの面白さ、着想の豊かさに感嘆!


かなり前衛的な作風ですね。


大丈夫かなあ。宝塚ファンはお芝居の時代考証にかなりうるさいですからねえ。


原作にHipHopは出てこないのに、なぜ?



御園座での「王家に捧ぐ歌」の時は


「古代エジプトにジッパーは無かったでしょ!時代考証がおかしい!」


・・・まあ、そのとおり。


個人的には、実際に舞台(のライビュ)を見たら、ラダメス以外のエジプト勢は簡素ながらも「いかにもエジプト」要素を残していたので、


ラダメスのコブラジャケットはそれとの対比で、


「当時のエジプトでは当たり前の価値観に染まっていない、異質な青年将軍」の特異さが際立って、


まあ、アリだったのですが。


(これは画面で見るからで、高額なチケット代を払ったのだから生の舞台の空間でもっと絢爛豪華なキラキラに浸りたかったのにー!という気持ちもわかります。)


確かに、100年前にHipHopは無かった。




6代目〝Legend〟AKIHITOが語る審査のポイントとは!?


振付家AKIHITO先生が、ゲーム原作の舞台『ダンガンロンパ』の振付に参加するにあたっての心構えについて語ったインタビューを発見!





とにかく〝原作に忠実〟に、〝原作通り〟ということを自分の中で絶対的なルールとして作りました。


原作ファンの方はもちろん、原作を知らない方にも楽しんでもらえるようにしなければ、ぼくが呼ばれた意味が全くないって思ったので、その両方に視点を置くことに、とにかくこだわりました!



――振付でいつも大事にしていることは何ですか?


1ということにはいつも徹底的にこだわってます。1つひとつ動きに対して、どれだけ〝執着心〟を持てるかによって、生まれてくるものが全く違ってくると思うんです。


「動きの1つひとつに色をつける」たしかに、宝塚の名ダンサー達、柚香と礼と彩風さんが全く同じ振りを踊っても、動きにはそれぞれの「色」としか言いようのない個性の違いがある。


同じ山の頂を目指すにしても、執着という名のアプローチのルートがそれぞれ違い、見てきた景色も違うから、それぞれの色がつくのですね。


〝原作に忠実〟に、〝原作通り〟


これは、「1920年代だからジャズ風の動きを」と決めつけるのではないと思います。


今では、ジャズはクラシック音楽と並ぶ「上品でおしゃれな音楽」という印象がありますね。「ジャズを聴いたら不良になる」という先生もあまりいないと思います。


(母は、1960年代に田舎の学校の先生に「ビートルズを聴いたら不良になる」と言われたそ


うですが)


1920年代は、ジャズのイメージって、今でいうHipHop的な、虐げられた者、抑圧された者たちの鬱屈したエネルギーが炸裂した、ここで引用するのもちょっと憚られる「隠語」っぽさもあった、ちょっといかがわしい、猥雑なエネルギーに満ちたものだったそうです。





今では、ジャズもすっかり上品なイメージになりました。


小池先生は、1920年代の読者がジャズに持っていた猥雑でエネルギッシュなイメージを、


今さらジャズを聴いても驚かない現代の宝塚の客に与えるには・・・


と考えた時に、


”攻撃的でスキルフルなダンスとストリートダンスの枠に収まらない発想力”を持つヒップホップダンサーAKIHITO先生なら、


上流階級に馴染んだ完璧な紳士の振る舞いを身に着けたギャッビーが、心の奥で抑圧しているマグマの熱量を、観客に伝えることができる!


と思ったのでしょうか。