ショパンのコンサートに行って赤っ恥かいた話
オールショパンプログラムのピアノコンサートに行きました
ロシアで活躍するピアニスト松田華音さん 故郷・高松の小学校で「弾き初め」
地方に住んでいると、なかなかプロの演奏家によるクラシックコンサートに行く機会が無いのです。
先日、地元の県民ホールで開催された、香川県出身のピアニスト松田華音さんによる、オール・ショパンプログラムのコンサートに行ってきました。
彼女は4歳でピアノを始めるや否や「天才少女あらわる!」と評判になり、6歳でロシアに留学、そのままロシアで音楽の勉強を続け、モスクワ音楽院に進み、成績優秀者に贈られる「赤の卒業証書」を授与され、ゲルギエフと共演したという、
地元のピアノ愛好家にはとても有名な方です。
演目は
第1部「スケルツォ」全曲
第2部「24の前奏曲」OP28
スケルツォ・・・知らんなあ。
予習しよう。
今はネットで調べればすぐ予習出来て便利よね。
晩御飯のBGMに、ショパン♪
今日のおかずは焼うどんだけど、優雅な晩餐♪
スケルツォはシンコペーションや特徴的な音形をつけるなどして、ソナタの中間楽章としてベートーヴェンが多くを残している。ショパンはその深刻な曲想を採用して洗練されていない憤怒・激情を訴える楽曲に仕立て上げた。
本作品はその第1作で、青年ショパンの激しい感情が随所に迸っている。背景には祖国ポーランドでのロシアからの圧制に反する蜂起が失敗したことがある。中間部にはポーランドのクリスマス・キャロル『眠れ、幼子イエス』が引用されている。スケルツォ全曲の中では唯一短調で締めくくっている
角野 隼斗/ショパン:スケルツォ第1番 ロ短調 Op.20(2018PTNA特級セミファイナル)Chopin - Scherzo No.1 Op.20
ふむふむ。「スケルツォ」とはイタリア語で「冗談」という意味があるのね。ショパンの、ロシアの圧政の下にある祖国ポーランドへの想いが・・・なるほど
息子:ママ、こんな陰気な曲を聴きながら焼うどんを食べても美味しくない。
配偶者:ヒステリー起こしたと思ったらおセンチになって、落ち着きの無い曲やな。
管理人:あんたたち、ショパンの良さがわからないの!感性が鈍くない?
紅子:家族喧嘩の最中おじゃましますが、「翼ある人びと」のシューマンによる「スケルツォ」評だよん。
「冗談(スケルツォ)」というタイトルやのに、喪服着たみたいな曲やな。
「真面目」って曲を作った時は、何を着たらええのや。
クラシックなんてほとんど聞かない配偶者や息子のほうが、曲の本質を掴んでいる!?
息子:ママ、頭でっかちなところがあるよね。
こんな会話をしてからコンサートに行ったせいか、
第1部「スケルツォ」全曲 感想
冒頭のグアーン!不協和音から始まり、リストもびっくりの、盤上の指の舞踏会ならぬ武闘会みたいな、とにかくめっちゃ怒ってはるショパンさん、と思えば、
中間部にはポーランドのクリスマス・キャロル『眠れ、幼子イエス』が引用され、つかのまの睡魔まどろみに包まれ、
かと思えば、ラストは不協和音のフォルティッシッシッシシィッシッシッシシィモ!
~ショパンの生演奏を聴いてライビュ専科の脳内によぎった物語~
病院から身内が危篤との連絡が届く。
母が病院で看取る。
葬儀会場
母が、普段疎遠な、親の葬式で久しぶりに会った、大阪に住んでいる姉と何か話している。
母が通夜のあとの晩ごはんの席で、普段飲まないお酒を飲んで、
「親は姉さんばっかり可愛がって、姉さんにはピアノを習わせて私立の女子大まで行かせて、私には
「もうお金が無いから、お前は地元の商業高校に進学して就職してくれ」だって。
姉さんは大阪でさっさと結婚して、亭主も出世して、専業主婦で悠々自適で、
私は田舎で地味に働いて、主人が長患いしたから、お前を大学にやる為に仕事もやめられなくて、親の介護も全部して、
姉さん、何もしてくれなかった。
なのに親が死んだら帰ってきて「遺言書は無いのね?なら遺産は山分けね。不動産はあんたにあげるから、預金は7~8割はもらわなきゃね。」
はあ?ふざけないで!
そして告別式でお経『眠れ、幼子イエス』が流れ、
家庭裁判所の遺産分割調停で、不協和音のフォルティッシッシッシシィッシッシッシシィモ!
・・・
高尚なショパンの芸術を聴きながら、こんな洗練されていない憤怒・激情にまみれたベタなストーリーが頭に浮かぶ自分のゲスさが、本当に嫌になりました。
「24の前奏曲」OP28 感想
正直「スケルツォ」全曲の時は、客席は四国新聞の優待でいらっしゃった方も多かったので
「なんか、思ってたショパンとちゃうなあ」
という声も聞こえたのですが、
第2部は
太田胃散CM 胃腸=イ長調?
ショパン: 前奏曲第7番 イ長調 Op.28-7[ナクソス・クラシック・キュレーション #癒し]
など、聴き馴染みのある名曲もあり、1曲45秒~3分くらいの優美で華麗な小曲が次々繰り出され、退屈せずショパンの世界を満喫できました。
やっぱり、生のコンサートはいいですねえ。
聴覚しか刺激されていないはずなのに、視覚や触覚や嗅覚が刺激されるような。
今この瞬間生まれる音の一つ一つが、一瞬、色を、手触りを、形態を、生成しては消えてゆく。
ピアノには88個しか鍵盤が無いのに、生まれる音色は1,000個以上あるようで、1つの音もゆるがせにしない。
弾き手は楽譜の膨大な音符の全てに「この音符には、この音、これしか無い!」と確信を持って当てはめていく。
ショパン: 前奏曲第15番 変ニ長調 Op.28-15 「雨だれ」[ナクソス・クラシック・キュレーション #特別編:
有名な雨だれの「ダンダン ダンダン ダンダン ダンダン」の通奏低音が、
この音の打ち込みが、小柄な身体のどこからこんなフォルティッシッシッシシィッシッシッシシィモ!を出せるのか!という迫力で、
雨だれというより、藁人形に五寸釘を打ち込む現場に居合わせたような恐怖に襲われて、怖かったです。
紅子:あんた、クラシックコンサート聴きながら、そんなこと考えていたの?
管理人:ああ、ゲスな自分がイヤだ。ショパンのコンサートを聴いている時くらい、もっと高尚なことを考えてみたい。
正直、ショパンさんの曲は、短かれば短いほどキレがいいね。10分くらいの曲になるともう構成がダレてあんまり面白くないわ。
天才ショパン様でも、1曲10分超えの「スケルツォ」とか「バラード」とか、一般にはそこまで有名では無いでしょ。
バラード第1番は羽生結弦選手が使用して有名になったけど。
【世界最高得点!】羽生結弦選手<男子ショートプログラム/四大陸フィギュアスケート選手権2020 in 韓国>ノーカット配信
CMなどの15秒、30秒の枠で流れるフレーズの曲想の豊かさはショパン、10分超えの作品でも、1曲通した時の構成力はリストのほうが好みだわ。