宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

アンタも、乗る?



アンタも、乗る?





大恐慌であえぐ1930年代のアメリカで銀行強盗を繰り返し、盗んだ車で走り去っていった、実在した強盗カップル、「ボニー&クライド」


彼らは今でいう劇場型犯罪の走りで、


2人で不敵な笑みを浮かべて抱き合ったり、ボニーが葉巻を咥えて、銃を片手にポーズをとった、新聞”映え”を意識した、「いかにも女ギャング」写真をたくさん残しています。



ボニーは、子供の頃は文学少女でした。貧しい育ちでしたが成績優秀で、まったく非行少女ではなかったそうです。


そんな女性が、ワルな男に出会って悪の道に・・・それにしても、なぜ?



ボニーは逃避行中に、新聞社に詩をいくつか投稿しています。


詩の抜粋


”Some day, they'll go down together.


They'll bury them side by side.


To a few, it'll be grief. To the law, a relief.


But it's death for Bonnie and Clyde.”




”いつか 二人いっしょに死ぬだろう


並んだお墓に


悲しむ人はわずか 


法には安堵を


でもそれは ボニーとクライドの死”



この詩はフランスで、ゲンズブールとブリジット・バルドーのデュエットソングのネタにもなりました。



Serge Gainsbourg et Brigitte Bardot "Bonnie and Clyde" | Archive INA


元となった詩はだいぶ長編で、


貧しさと暴力にまみれて育った少年。空腹に耐えかねて、七面鳥を盗んで少年院に入っても、少年院ではもっといじめられるだけで、お上は何もしてくれない。


堅気になろうとしたら、警官たちがやってきてじゃまをする。税金で買ったピストルを持って。


という、社会的弱者のこどもを排除するばかりで、更生の手助けという視点が無かった行政へのうらみつらみが書かれています。


根っからの犯罪者であるクラウド。


「強い彼」からこぼれてくる弱い何かを、ボニーがすくいとって、言語化した。ボニーは社会への復讐者でもあり、一種の告発者でもあった。


犯罪はダメ・ゼッタイ。でもボニーは、出会う相手が違えば、ジャーナリスト的な生き方もできたような気もする。


この宝塚では稀有な男女の関係性は、舞台でどのように表現されるのでしょうか。