『うたかたの恋』今あえて再演の意義は?
悩める皇太子ルドルフを演じるトップスター・柚香は
「人間の複雑な影響の仕方、人が人に惹(ひ)かれていく過程の描き方がなんともロマンチックですが、リアリティーがある」と作品の魅力を語った。
再演については
「名作だけに『この場面ってこうだよね』という先入観をいかになくして一から作ることができるか」。
この世には、日本語で書かれたコンテンツだけでも、毎日プロ・アマ問わず膨大な作品が供給されています。
そんな中、もう40年も前に書かれ、もっぱら全ツ用演目となった『うたかたの恋』を、大劇場で再演する意味は?
仮説として、
・柚香体制で『エリザベート』を上演できないので、シシィの息子の物語で疑似思い出再演!ということで許してね。
・柚香体制で本公演で少女マンガを上演したかったが、有名な少女マンガ、もうあらかたやっちゃったし…
・花組は特に公演中止が多かったので、金銭的損害が甚大で、予算が無い・・・再演で予算節約しよう。
3番目の理由がメインだったらちょっと悲しいので、それは無いと思いますが・・・💦
柚香さんが『うたかたの恋』を
「人間の複雑な影響の仕方、人が人に惹(ひ)かれていく過程の描き方がなんともロマンチックだが、リアリティーがある」
と評していらっしゃいます。
『うたかたの恋』を現代に上演するにあたり、求められるリアリティーとは?
1983年及び1993年に大劇場で『うたかたの恋』を見た観客は、ウイーンミュージカル『エリザベート』をまだ知らない。
宝塚大劇場及び東京宝塚劇場で、2023年版のうたかたの恋を見る観客は、8割がた『エリザベート』を見たことがあるでしょう。
観客は、ルドルフは、”あの”シシィの息子 だと知っていて、知らなかった頃には戻れない。
だけど、『うたかたの恋』は、全ツや別箱で「客がエリザベートを知る前の作劇」で上演され続けた。
今回、大劇場で『うたかたの恋』の上演は、
『エリザベート外伝 シシィの息子ルドルフの悲恋』
として、『うたかたの恋』のルドルフを、『エリザベート』のルドルフの人物像に寄せる試みになるのでしょう。
では、これまで『うたかたの恋』で40年間上演されてきた、
『この場面ってこうだよね』という、歌舞伎やオペラにおける『型』的な演出はどうなるのか?
歌舞伎で、同じ古典の演目でも「音羽屋型」「高麗屋型」と、家により細かい演出が異なるものが伝承されているように、
『うたかたの恋』も「柴田型」「小柳型」などと、複数の演出の型で演じ分けられ続けていくのでしょうか?