宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

『うたかたの恋』初日映像を拝見して




『うたかたの恋』初日映像を拝見しました。



花組公演『うたかたの恋』『ENCHANTEMENT(アンシャントマン) -華麗なる香水(パルファン)-』初日舞台映像


『うたかたの恋』って、もともとは、「重厚な歴史悲劇」というよりは、


「エロスとタナトスに目覚めた乙女の究極の夢想を、このうえなく美しくこの世に現出してさしあげましょう」


としてファンに提供されたものだったのだろうなあ。



もしも私が17歳で、皇太子さまに


「濡れた草の中の青い小さな花、それはあなた。」


みたいな手紙をいただいたら・・・


・・・


あまりのことに、「皇太子さまとわたしの未来」に妄想が一歩も進まない・・・




17歳の女の子に、リアルにそんなことが起こったら、


そして皇太子さまに


「この世では私たちは結ばれない。せめてあの世で・・・」


とか言われちゃったら・・・




ルドルフが本当に心中したかった相手は、ミッツィ・カスパル(詩希 すみれ)で、彼女に心中を持ちかけたが


「ばっかじゃない」


と相手にされず、


仕方なく、自分に夢中なマリーを死出の旅の道連れに選んだという説があるそうです。



ルドルフにとっては


”マリー「」いい”



マリーにとっては


”ルドルフ様「が」いい!”



マリー・ヴェッツェラ、17歳。


「うたかたの恋」は、マリーが思春期の終わり、青年期の入り口の、嵐のさなかに立っていたゆえにおこった悲劇。



宝塚では10代の役を、本公演では実年齢が20代のジェンヌが演じるのは珍しくない。


が、星風さんは、もうルドルフを産んだころのシシィみたい。


観客は、ルドルフがシシィの息子で、ずっと母の愛に飢えた少年期を送っていたことを知っている。


柚香さんの演技も、ウイーンミュージカルにおけるルドルフ像を踏襲。



そこに、母性すら感じる星風シシィだと、マリーにすがるルドルフが


「ママ、どこなの、聞こえてるの?」


「ママ、もういちど僕を産みなおして、育てなおして!」


的な、ルドルフの中の幼い少年の、哀切な叫びすら感じる。