宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

花組大千秋楽を見て楽しめるか不安だった



花組東京宝塚劇場公演『鴛鴦歌合戦(おしどりうたがっせん)』『GRAND MIRAGE!』の大千秋楽を拝見いたしました。


私はこの一週間、太平洋戦争や、極東国際軍事裁判の記録映像を見ているような気分で過ごしておりました。


笠置シヅ子の持ち歌に


「オッサンほんまになにしてまんねん。わてほんまによう言わんわ。」


という歌詞があったなあ・・・


戦後の日本で、火で焼かれ、爆撃を受け、焼け焦げた街並みで立ちつくす暇もなく、闇市でもみくちゃになっているときに、


『リンゴの唄』や『東京ブギウギ』を初めて聞いた時の気持ちって、


こんなふうに心がズキズキ、ワクワクしたのかなあ。


宙組から組替えして、亡くなった方と親交があった星風まどかや美風舞良組長には、宝塚メイクや役柄の仮面をかぶっていても、役の枠を超えてにじみ出る感情がありました。


星風まどか演じるヒロインが、”一万両の価値ある壺”を投げ捨てて、


「あなたも、みんなも、幸せになっていいのよ!」


このセリフに、心がズキズキするなんて。


虚構の帝国を、ジェンヌの死という重い現実が揺るがす中、


柚香光は、いつもどおり変わらぬ笑みを浮かべて、嵐の中の灯台のように立っている。


あのニュースを知る前の世界線に戻してくれたように。


アイドル(idol)の語源は 「信仰の対象としての偶像、神像」ですが、柚香光は観客の前で、花組信仰の本尊の役割を引き受けて、ゆるがない。


宝塚が未曽有の事態に陥った時の、トップスターの対応はどうすればいいのか。


その答えを、柚香光は語らずとも実践している。