柚香退団『アルカンシェル』に同期の輝月が!
『アルカンシェル』
~パリに架かる虹~
作・演出/小池 修一郎
「パリは燃えているか?」 撤退を決めたドイツのフランス占領軍に、ヒットラーは首都爆破命令を下す。ナチス・ドイツの侵攻に抵抗を続けていた人々は、その時如何にしてパリの街を護ったのか。
フランスが生んだレビューの灯を消すまいと立ち上がった一人のダンサーを主人公に、パリ解放に至る過程をドラマティックに描き上げる物語。宝塚歌劇ならではの絢爛豪華なレビューシーンを交えてお届けする、大作ミュージカル・レビューの誕生にご期待ください。
ナチス・ドイツ占領下のパリ。レビュー劇場「アルカンシェル」では、ドイツ軍の進駐目前にユダヤ系の人々が亡命、残された人気ダンサーのマルセルが、劇場を託される。
看板歌手のカトリーヌと意見を対立させながらも、一座の命運をかけてドイツ軍検閲官と渡り合い、レビューの灯を護ろうとするマルセルは、密かにパリの街を取り戻すためのレジスタンス運動に加わっていく。
ある時ドイツ軍将校の執拗な求愛を退けたことで、追われる身となったカトリーヌを匿うこととなるマルセル。
やがて二人は惹かれ合い、共に愛する祖国のために戦うことを決意する。
ドイツ軍の敗色が濃厚になる中、パリを爆破する準備が進められているとの情報を得たマルセル達は、何とかして街を護ろうと立ち上がるのだが…。
物語の舞台は、1944年のパリ。
当時のフランスは、未曽有の状態にありました。
フランスは1940年7月から、中部フランスの温泉保養地ヴィシーを臨時の首都とするヴィシー政府が統治していました。
ヴィシー政府の実態は、ナチス−ドイツに協力を余儀なくされ、フランス国内でもユダヤ人迫害政策が行われました。
ド・ゴールは亡命先のロンドンで自由フランス政府をつくり、BBCを通じてフランス国民にレジスタンス(抵抗運動)を呼びかけます。
つまり、フランスは2つの政府に別れ、実質の首都はロンドン(のちにアルジェ)と温泉保養地ヴィシーにあり、
永遠の都パリは、フランスの首都ではなかった。
ヴィシー政府がナチスドイツとの全面戦争を避けたおかげで、パリは大戦中も欧州の貴婦人として美しさを保っていたのですが、
1944年ベルリンは陥落。
ヒトラーは「パリを破壊しろ」という、軍事上もはや意味の無いやけくその命令に固執します。
もしも、ドイツ占領期最後のパリ軍事総督であったディートリヒ・フォン・コルティッツがヒトラーの命令に忠実であったなら。
今のパリには、この街の歴史を見つめてきたエッフェル塔も、ノートルダム大聖堂も、オペラ座も無かった。
ルーブル美術館のミロのヴィーナスは永遠に失われ、人類は残された白黒写真を頼りに、モナリザの微笑みを想像するほかなかった。
なによりも、数十万人のパリ市民の命が失われ、今パリで笑いあってランチを食べているパリジェンヌたちは生まれていなかった。
パリの運命は、ナチス・ドイツパリ軍事総督コルティッツが握っている。
彼とてパリ破壊作戦の無意味さは承知していたが、パリを燃やさなければ、自分のみならず妻子も無残に殺されるという脅しを受けていた。
主役マルセルは柚香さんで、輝月ゆうまがコルティッツとなり、2人の駆け引きによってパリは救われるのか?