労働基準監督署が来た!
労働基準監督署が歌劇団に調査に来たとなると、
指導票(法令違反ではないが、改善したほうがいい点が記入された書面)
や
是正報告書(法令違反がある場合に発行。違反内容、指示、対応の期日が書かれた書面)
が発行され、企業は指摘事項を改善し、報告書を提出する必要があります。
悪質性が高かったり、改善が見られない場合は、罰金刑や企業名の公表などの処分を受けることがあります。
実際に労働基準関係法令違反に係る公表事案の対象になっているのは、ほとんどが建設業や工場、運輸業関係の企業です。
労働基準監督署の指導は、長時間労働や給与未払、工事現場における事故防止策が不十分だった、といった客観的に判断できる点についての指導がメインです。
令和3年4月から令和4年3月までの監督指導結果のポイント
(1)監督指導の実施事業場:32,025事業場
(2)主な違反内容[(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]
1違法な時間外労働があったもの:10,986事業場(34.3%)
うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
月80時間を超えるもの:4,158事業場(37.8%)
うち、月100時間を超えるもの:2,643事業場(24.1%)
うち、月150時間を超えるもの:562事業場( 5.1%)
うち、月200時間を超えるもの:121事業場( 1.1%)
2賃金不払残業があったもの:2,652事業場(8.3%)
3過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:6,020事業場(18.8%)
(3)主な健康障害防止に関する指導の状況[(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]
1過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:13,015事業場
(40.6%)
2労働時間の把握が不適正なため指導したもの:5,105事業場(15.9%)
宝塚歌劇団の労働条件は、労働基準監督署案件でもワースト1%に入る劣悪さのようですね…
ジェンヌの長時間労働問題が、大劇場で年間8公演、週9回公演にすることで劇的に改善するのか?
ひょっとしたら、月曜日と木曜日を定休日にするとか、年間7公演制くらいにしなければ、公演の質と労働基準関係法令順守を両立できないのでは?
マスコミの注目を集める指導のパワハラ問題や、自主レッスンは労働か否か、アクセサリの手作り時間は労働時間か、といった問題は、工場や工事現場ではあまり問題にならない芸能界特有の問題なのですよね…
西宮労働基準監督署が、
・上級生から下級生への芸事の指導のありかたについて
・自主レッスンは労働時間か
・自宅でアクセサリを作ってはいけません
といった指導をするかというと…
こういったところは、劇団側とジェンヌ側との話し合いによって解決していかねばならない問題だと思います。
「わかりやすい話」にされすぎても困る
昨今のマスコミの、ジェンヌの実名を出して
「パワハラジェンヌ」VS「改革を訴えるジェンヌ」
の構図をわかりやすく強調し、煽るような報道は、誰に向けて、何を意図してのものなのでしょうか。
宝塚歌劇団の存在を知っているが、個別の現役ジェンヌの名前や顔を知らない視聴者や読者層に対しては、「パワハラジェンヌ」VS「改革を訴えるジェンヌ」は
「わかりやすい話」
なのかもしれません。
マスコミのそういった煽りにファンも乗っかることは、劇団とジェンヌ、上級生と下級生との話し合いにとってプラスとなるのでしょうか?
宝塚を継続して見てきたファンとしては、今回の問題の根源をそんなに「わかりやすい話」に落とし込まれてたまるか、という想いがあります。