労基署に「新人公演は廃止を」と言われたら
花組公演『BE SHINING!!』の休演者をお知らせいたします。
■公演期間
昭和女子大学人見記念講堂公演:2023年11月28日(火)〜12月3日(日)
神戸国際会館こくさいホール公演:2023年12月10日(日)〜12月13日(水)
昭和女子大学人見記念講堂・神戸国際会館こくさいホール公演
○(花組)朝葉 ことの
全日程休演
星組公演『RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~(アールアールアール バイ タカラヅカ ~ルートビーム~)』『VIOLETOPIA(ヴィオレトピア)』の休演者をお知らせいたします。
■公演期間
宝塚大劇場公演:2024年1月1日(月・祝)〜2月4日(日)
東京宝塚劇場公演:2024年2月23日(金・祝)〜4月6日(土)
宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演
○(星組)蒼舞 咲歩
全日程休演
■代役『RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~(アールアールアール バイ タカラヅカ ~ルートビーム~)』
カマル 蒼舞 咲歩→世晴 あさ
どうか、お大事になさってください。
103期の歌姫、朝葉ことのが、コンサートを休演とは…
宝塚歌劇団が東京宝塚劇場での新人公演のリアルタイム配信を開始して、101期以下は「新人公演が生配信される世代」となりました。
コロナ禍前は、私のような地方民は、新人公演主演者といえど、本公演で大きなお役がつかない生徒さんの顔と名前と芸風が一致しなかったのですが、配信のおかげで舞台の下級生の解像度がずいぶん上がりました。
朝葉ことのの「殉情」バウホール公演ヒロインの、サディスティックな「佐助!」も、「鴛鴦歌合戦」新人公演初ヒロインでのおきゃんな姿も、目に耳に焼き付いています。
誰だって、休演は悔しく歯痒いことだと思いますが、リアルタイムで拝見した103期の新人公演の主演者たちの休演には、どうにも心臓がハクハクします。
103期の希波らいと(「元禄バロックロック」「うたかたの恋」で新人公演主演)が、花組 『鴛鴦歌合戦』 『GRANDMIRAGE!』 全日程休演。
同じく宙組の亜音有星(「シャーロック・ホームズ」「HiGH&LOW」で新人公演主演)が、『PAGAD(パガド)』『Sky Fantasy!』を全日程休演。
・・・
今回の悲劇を引き起こした要因の一つが、新人公演開催のための過酷な労働にあることは確かなのでしょう。
もしも労働基準監督署から「新人公演という制度自体に問題がある」と指摘を受けたら、どうすればよいのでしょう。
私は亡くなったとされるジェンヌさんのことも、報道後に新人公演での配役を調べて、「ああ、あのお役を…」と記憶をたぐることができて、自分と悲しみとの距離がぐっと縮まりました。
もしも新人公演のリアルタイム配信を視聴していなければ、私の中では彼女の死は、セリフや歌声が芸名と結びつかない「ジェンヌXの死」のままだった。
「新人公演は廃止して、若手は若手主体のバウで鍛えよう」という問題でも無いのでしょう。
新人公演担当の演出家には指導しきれない、ブンガク的な演技論とはまた別の、男役・娘役の細やかな所作、仕草の工夫、そういったものの積み重ねが、宝塚の舞台のあの空気感を作っていて、私はその空気を吸いたくて、宝塚の舞台に通っている。
(劇団四季や東宝の舞台のアンサンブルは、この統一された「空気感」がどうしても希薄なのです。)
現行の、宝塚大劇場で初日から3週間足らずで「とにかく1回上演して、反省点を元に東京でよりレベルの高い舞台を配信でお見せする」パターンはあまりに過酷です。
・大劇場公演は公演期間6週間を原則にして、新人公演は5週目~楽日近くに設定する。
・新人公演を東京で昼夜2回公演して、2回目の公演を配信する(チケットは売れるでしょう)
くらいの余裕は欲しい。
労働基準監督署の指導がどのようなものになるのかはわかりませんが、個人的には「新人公演制度の廃止」という結論になってほしくないと願っています。