宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

遺族側が公開されたSNSを拝見して愕然としたこと





雪組公演『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』『FROZEN HOLIDAY(フローズン・ホリデイ)』初日舞台映像(ロング)



自死されたジェンヌさんの遺族側が公開した、SNSを拝見しました。


特に驚いたのは、彼女が演出家と交わしていた、新人公演のフォーメーションや出入りのタイミング、早変わりの段取りまでに及ぶ膨大なやり取りについての記録です。


劇団の経営陣は、このように複雑な段取りを、入団7年目とはいえ芸の修行途上で、自身も出演者であるジェンヌと、見習いの演出補に責任を投げて、宝塚大劇場の初日から2週間ほどで「お客様からお金をいただける」レベルにすることを求められていたのですね…


今から50年前に書かれた柴田作品のような、全ツ会場でも十分上演可能に書かれている舞台ならいざ知らず、昨今のセリや盆がダイナミックに動く舞台の出入りの段取りを整え、本公演と出演者がすべて変わっている芝居も歌もダンスも完璧に…


いや、劇団四季や東宝のミュージカルに出演するプロの俳優でも、これをプレーヤー兼監督としてこなすことを求められると、相当な負荷がかかるでしょう。


(そもそも、脚本の執筆能力と、舞台上で演出をつける能力は別のものでしょう『PAGAD(パガド)』の作/演出の田渕 大輔氏は、大きな舞台上での登場人物のさばき方がさほどスムーズではない印象です。)


運営陣は宝塚のスターシステムにとって大変重要な新人公演を「本公演の合間にやらせていただく、あくまで正規の公演ではない、勉強の成果の発表会です」という位置づけにしていて、一方ではリアルタイム配信の目玉「商品」でもある。


こんな大事な公演を、本公演の舞台や本公演のためのお稽古が終わった後に、サービス残業で準備するのではなく、きちんと「本公演の役代わり公演」と位置付けて、準備の体制を整えねばならないと思います。舞台演出専業の演出家がいてもよいのではないでしょうか。