ついに初日!"RRR"&√KABUKI極付印度伝 マハーバーラタ戦記感想
宝塚歌劇団に√TAKA"R"AZUKAがあれば、
2024年の元日、宝塚大劇場のロビーは鏡開きで
「明けまして、そして TAKA"R"AZUKA110周年、おめでとうございます!」
という笑顔で溢れていたのでしょうか。
新年早々荒れる辰年ですが、ついに
『RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~(アールアールアール バイ タカラヅカ ~ルートビーム~)』
レビュー・シンドローム
『VIOLETOPIA(ヴィオレトピア)』
の幕が上がりますね!
管理人はこのお正月は、歌舞伎座で昨年11月に上演された、『RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~』の元ネタとなった古代インド神話を元にした
『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』
の配信を視聴しておりました。
【舞台映像】歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」昼の部 初日ダイジェスト映像
「マハーバーラタ」の「マハー」は「偉大な」、「バラタ」は「バラタ族」を表しているそうです。(インドでは自国のことを「バーラト」と呼ぶ。)
古代インドの天界では、太陽神と帝釈天(たいしゃくてん)が対立していた。
太陽神は人間のクンティ姫(米吉)に息子カルナ(菊之助)を産ませ、平和を以って人間界を平定する救世主として君臨させようと試る。
帝釈天は、力を以って世界を支配するべきだと、こちらもクンティ姫に息子アルジュラ(隼人)を産ませる。
神の子として生まれ、地上に送られたカルナとアルジュラは、地上のバラタ族の王国の105人の兄弟たちによる泥沼の相続争いの中心人物となる。
戦いは、神々の代理戦争の様相を呈する。
カルナは天の父に問う。
”I am GOD'S CHILD (私は神の子供)
この腐敗した世界に堕とされた
How do I live on such a field?
(こんな場所でどうやって生きろと言うの?)
こんなもののために生まれたんじゃない”
紅子:真面目に読んだ読者が「?」ですよ。
管理人:まあ、神話の中の神話ですからね。
・人間達が神々の代理戦争←トロイ戦争(イーリアス)?
・クンティ姫が処女懐胎←処女懐胎?
・クンティ姫は、生まれた子カルナを箱に詰めて河に流す←モーセ?
・河に流されたカルナは、親切な御者夫妻に拾われてすくすく育つ←桃太郎?
・王女の婿選びはダンス合戦←RRR?
と、世界中の神話や伝説の元型が全部詰まっているのでは?というほど、怒涛の展開が繰り広げられるのよ。
インドでは「マハーバーラタ」は
「ここに存在するものは他にもある。しかし、ここに存在しないものは、他のどこにもない」
というほど、偉大な古典として愛されているお話だそうです。
物語の主役は、生まれてすぐに河に流されたカルマ。
カルマのきょうだいたちは、王族として生まれた”宿命”として、相続権をかけて争っています。
正義A VS 正義B
というわかりやすい構図です。
カルマは、親を殺された復讐とか、財産を奪われそうだから戦っているわけではなさそうで、
「人は、なぜ争うのか」
「異父弟アルジュラは、戦いに憑りつかれている。私は世界に平和をもたらすために、アルジュラを倒す!」
と、哲学の問いの答えを求めて戦っているフシがあり、
正義A VS 哲学A
の構図になっています。
紅子:戦闘シーンで、いちいち
この腐敗した世界に堕とされた♪
こんなもののために生まれたんじゃない♪
的な哲学が始まるアクション映画みたいな舞台なのね。
管理人:楽しく見て、元気をもらって、2か月後にはすっかり忘れている映画というよりは、
見た後で
How do I live on such a field?
という哲学がじわじわ侵食してくる映画、という趣の舞台でした。
紅子:歌舞伎座で、インド版ハリウッドアクション歌舞伎を見られるのかと思ったら、カンヌ映画祭受賞作の歌舞伎化を見たような印象なのね。
こっちも見ました。
歌舞伎版『ルパン三世』“ルパン”片岡愛之助・“五ェ門”尾上松也・“銭形警部”市川中車 滝登場でびしょ濡れ!笑いあり驚きありの新作歌舞伎『流白浪燦星』公開舞台稽古
ルパン三世:片岡愛之助
石川五ェ門:尾上松也
次元大介:市川笑三郎
峰不二子:市川笑也
銭形警部:市川中車
市川中車(香川照之)さんは、古典歌舞伎に出演しているときは「借りてきた猫」みたいに神妙にしているのだけど、
「るぱーん 御用だあああ う、取り逃がしたかあああ」
と銭形警部を演じている時の「水を得た魚」っぷりが見ていて楽しかったです。