芹香斗亜 退団
芹香斗亜、退団。
『Le Grand Escalier -ル・グラン・エスカリエ-』東京千秋楽の映像を拝見していて、彼女の醸し出す、早春の雪に覆われた水辺に生える芹の新芽のような冴え冴えとしたオーラに、退団の予感は感じていました。
『芹香斗亜』って、素敵な芸名だと思います。
芹は、セリ亜科 セリ属 の多年草。日本原産で、春の七草の一つで、独特の清らかなハーブ香と特有の苦みが特徴です。
前任者の真風涼帆は、ずいぶんこってりとした芸風で、
芹香斗亜のこざっぱりしてひょうひょうとした芸風、確かな歌唱とダンスは、ステーキの隣のセリのように、皿の上の食感と栄養バランスを絶妙に整え続けてくれました。
皮肉なことに、「芹を摘む」という用語には、
宮中の庭掃除の男が、芹を食べる后を御簾 (みす) の隙から見て思いを寄せ、芹を摘んでは御簾の辺りに置くが、そのかいもなく、ついに焦がれ死にしたという故事から
”思いが通じない。思いどおりにならない。”
という意味があるそうです。
彼女のタカラジェンヌ人生の最終コーナーが、セリよりも苦いものになるなんて。