宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

汶族はどこへ行ったの? 丹礼真は謝先生のご先祖説 


星組大劇場公演 『眩耀(げんよう)の谷 ~舞い降りた新星~』『Ray -星の光線-』 初日舞台映像

謝先生のアイデンティティ「客家(はっか)」

謝先生といえば宝塚OG(57期生)、宝塚でショーでの数々の名シーンの振付、柴田作品の演出を手掛けられた方。


謝先生のオリジナル作品となると、過去にショー『MAHOROBA -遥か彼方YAMATO-』を手掛けられています。


大和にまほろば…謝先生はそういう民族のルーツを探る作品がお好きなのかなあ?


古巣で初めて自作の芝居を上演できるとあって、自分のファミリーヒストリーをテーマにされたのかなあ。


謝先生は華僑、その中でも客家(中原と呼ばれた古代中国の文明の中心地を戦乱で追われ、南方(福建省、広東省、さらには台湾、シンガポールなど)に移り住んだ一族の末裔)の出身で、それをアイデンティティにしていらっしゃる方。


ご自身のカンパニーでも「客家」をテーマとした作品を手掛けていらっしゃいます。



TSミュージカル:客家〜千古光芒の民〜
水 夏希さん、 未沙のえるさんもご出演されていますね 

※客家(はっか)とは

古代中国の王族の末裔であると言われている。戦乱から逃れるため中原から南へと移動、定住を繰り返していった。先住先では原住民から見て“よそ者”であるため、客家と呼ばれ、原住民との軋轢も多かった。山間部に好んで住居することが多く、独自の言語・文化を持っていて、教育熱心であることでも知られており、教職や政治家、軍人など指導者となる多くの人材を輩出している。


客家は東洋版のユダヤ人というべき存在で、基本移住先では異邦人扱いで、その分一族の団結が強く、土地所有に縛られない知的職業を生業とし、経済的に成功する方が多かった(李登輝さんも客家)。


つまり「眩耀(げんよう)の谷」は西洋でいうと、ユダヤ人の方が出エジプト記を芝居にしたようなものではなかろうか

出エジプトがテーマの映画「十戒」

海が割れるのよ♪道ができるのよ♪


The Ten Commandments (1956) - Trailer


エジプト王ラメシス一世は、新しく生まれるヘブライの男子をことごとく殺すという命を発した


生まれたモーゼ(チャールトン・へストン)も母親の手でナイルの大河へゆりかごに隠されて流された。だが幸運にも小さな箱船は王女の足もとへただよい着いた。王女はその赤児をあわれに思い、引きとって立派に育てた。


彼はここで平和な生活を送っていたが、ある日シナイ山で神の声を聞いた。モーゼは解放者に選ばれたのだ。ここにモーゼとラメシスの争闘が始まった。疫病がエジプトを襲った。数千の奴隷は脱出して紅海の畔までたどり着いた。ラメシスは戦車をかり出した。


だが、モーゼがひとたび叫ぶと、焔が立ちラメシスの軍勢を防いだ。海は陸地となり、水は2つにわれるという奇跡が起こったのだ。エジプトの軍勢は海底に没した。


奇しくも

・男の子を殺せという命令

・神の声に導かれ旅立つ

・疫病の流行

・闘うよりも、逃げて約束の地へ

「眩耀(げんよう)の谷」と共通のモチーフがたくさん。


ユダヤの方って、ギャングでも「教えておくれ♪✡ダビデの星よ♪」と妙に信心深かったりしますが、あの方たちはずっと流浪していて世界中に散らばっていて、


バビロン捕囚からイスラエル建国まで2000年以上「先祖伝来の土地」というものが無い。


どこにも所属していないゆえ、共通のアイデンティティは「古代のご先祖」なんですね。



つまり丹礼真は謝先生のご先祖 ということでしょうか、せんせー。


日本の観客にしたら、聞きなれない固有名詞だらけのうえに、


こういうお話は阿弖流為のように民族の誇りをかけて闘うんだろうな!と予想してしまうので、


主人公達が最後逃げるんかーい!


どこへ?何を目指しているの?


頭の中に地図を描きにくい作品だろうなあと思います。


まあ、客家の方が「眩耀(げんよう)の谷」をご覧になれば、民族のバックボーンががありますから、よくわかるのでしょうが。


多分客席は「異人たちのルネサンス」以来の???になっているのでは・・・