宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

ロミオ愛読書「出会って14行のくどき文句でキスするには?」


『宝塚歌劇 星組 ニコニコ貸切記念特番「ロミオとジュリエット」シェイクスピア×ミュージカル協奏曲(コンチェルト)』第三回放送は、2021年3月3日(水)21:00より。



2021年2月13日(土)よりニコニコ生放送にて放送されている特別番組『宝塚歌劇 星組 ニコニコ貸切記念特番「ロミオとジュリエット」シェイクスピア×ミュージカル協奏曲(コンチェルト)』の第三回ゲストに元宝塚歌劇団 星組、 月組男役として活躍した美弥るりかが決定した。


本番組は、動画サービス「ニコニコ」にて、2021年3月21日(日)に宝塚歌劇 星組 三井住友VISAカード ミュージカル『ロミオとジュリエット』の貸切公演キャンペーンが行われることを記念して放送されているもので、OGと一緒に『ロミオとジュリエット』を原作アプローチから学べる番組だ。初回放送ゲストには元星組トップスターの紅ゆずる、 第二回には元雪組トップスターの音月桂が出演した。


第三回放送は、2021年3月3日(水)21:00より。ゲストの美弥るりかは2012年月組公演でマーキューシオを演じている。

本番組は、2021年3月21日(日)に宝塚歌劇 星組 三井住友VISAカード ミュージカル『ロミオとジュリエット』の貸切公演キャンペーンが行われることを記念して放送されているもので、


前半は『ロミオとジュリエット』出演経験のあるOGが、ヅカオタ西川史子さんと舞台の思い出を振り返り、


後半はシェイクスピア研究家の方と一緒に、原作の魅力を楽しく学べます。


OGがロミオ役、西川史子氏がジュリエット役(!)で、朗読劇で名場面を再現したり、


ホワイトボードに原作のフレーズを張り付けたり、手作り感あふれる講義がとてもためになって、


ああ、自分が学生の頃、こんな授業があったらなあ・・・




【紅ゆずる&西川史子】宝塚歌劇「ロミオとジュリエット」の魅力に迫る!特番アフタートーク


3月3日21時~美弥るりかさんの回は、リアルタイムなら誰でも無料視聴できます。


第1回紅ゆずる編、第2回音月桂編は「ニコニコ動画」で見逃し配信中です(ニコ動プレミアム会員限定)。




音月さん編での専門家の解説で、面白かったポイントをば。

「出会って14行のくどき文句でキスするには?」



昔、シェイクスピアの戯曲の翻訳を、いきなり読むのは大変だったんですよー。文体は古臭いし、文庫本の活字も潰れて読みにくいし。


今は、ラノベで、瑞々しい文体で、小説を読むようにロミオとジュリエットを楽しめる。いい時代だなー。


ネットで、お試し無料公開されている部分から、一部抜粋させていただきます。


仮面舞踏会で出会ったロミオとジュリエット。手のひらを合わせるあのシーン。「エメ」でも手を合わせていましたね。

星組公演「ロミオとジュリエット」制作発表編(パフォーマンス ノーカット)


「なんだか、僕の卑しい手で君を汚してしまったような気がするよ。こんなにも、君が愛らしいから」


 普段のロミオは、こんなに気障(きざ)な台詞を言う男ではなかった。ただ、彼女と出会った衝撃に自然と口をついて出てしまったのだ。一瞬、彼女が驚くだろうかという懸念が脳裏をよぎったが、すぐさまそれも飛び去った。彼女なら、自分の言葉を素直に受け止めてくれると、何故か思ったのだ。


「でも、この手は離せないみたい。……だからせめて、巡礼という名の唇で、聖者様の手を清めさせて」


 甘く囁いて、ロミオは少女の手を捧げ持つように引き寄せると、手の甲にそっとくちづけた。


 優しく柔らかく触れたその唇に、ジュリエットは目を瞑った。同じくちづけなのに、どうしてこうも違って感じられるのだろう。触れられたところから、温かさが全身に広がり、先程の恐怖など塗り変えられてしまうようだった。


 唇が、吐息と共に離れていく。そのことを名残惜しく思いながら、ジュリエットは首を横に振った。


「巡礼様。そんなことを言ってはあなたの手が可哀想だわ。こんなに信心深いのに」


 ジュリエットもまた、気がつけばそう囁いていた。自然と、言葉が出てくるようだった。こんな感覚は初めてのものであり、戸惑いつつもジュリエットはその流れに身を委ねた。


 重ね合わせていた手を離し、今度は向かい合うようにして手を合わせる。


「聖者の手は、巡礼が触れるもの。こうして、手を合わせるのをくちづけと呼ぶのよ」


 触れた少女の手は小さく、ロミオはひどく心をかき乱されるのを感じた。初めての感情だった。彼にとってもまた、初めての感情だった。彼女の笑顔が、星明かりにきらめく瞳が、全てが愛おしい。


「手を合わせるのがくちづけ、ね。でも、聖者や巡礼にも唇があるでしょう?」


 相手の唇を見つめながらロミオが微笑むと、彼女はぱっと頬を赤く染めた。


「唇は、祈るためのものだわ」


 彼女は恥じらうように目を伏せたが、拒絶の兆しは見られなかった。


 指を絡め、彼女の顔にそっと顔を寄せる。


「それなら愛しい聖者様。――手がすることを、唇にもさせて」


なんで急に子供たちが巡礼がどうのと、お遍路さんみたいな用語を使うのかというと、


「ロミオ」という名前には、もともと「ローマ巡礼」という意味があるのと、


”「巡礼はエルサレムに巡礼した記念に棕櫚 palmの葉や枝を持ち帰ったため、palmerとよばれた。これを掌のpalmにかけて、ジュリエットは言葉遊びをしている。」”
 河合祥一郎


だそうです。


宝塚版では一瞬のシーンですが、原作では13歳のジュリエットが初対面の相手に、これだけおしゃべりして、



「ねえ、キスして」



と言っているわけですね。


そして、小鳥のようなキスのあと、


JULIET

You kiss by the book.


口づけの儀式のよう。/小田島雄志訳

キスの儀式みたいね。/河合祥一郎訳

お作法どおりのキスね。 /松岡和子訳

by the book


「「出会って14行のくどき文句でキスするには?」というタイトルの本を読んで、勉強したようなキスね」


…ジュリエット、13歳。(ちなみにカマラと同い年)