宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

デイジー、なぜギャツビーのもとに戻らないの?








月組 宝塚大劇場公演『グレート・ギャツビー』は、公演関係者から新型コロナウイルスの陽性が確認されたことを受け、7月29日(金)~8月18日(木)までの公演を中止しておりますが、このほど、公演の準備が整いましたことから、8月19日(金)13時公演より、公演を再開いたします。


ご観劇を心待ちにしておられたお客様には、大変ご心配とご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。


やったー!ギャッビー再開!デイジーに再会できるよ!


これでライビュ、配信、円盤化もできるから、公演中止でチケットが払い戻しになった方も、物語を楽しめるよ!




楽しみー♪可能なら休みをもぎ取って、ライビュに参戦したいなー💛




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「グレート・ギャッビー」という作品自体が、グレートな感想文である説


宝塚ブログを始めて、ライビュ視聴の感想をブログにUPし始めて、決定的に失ったものがあります。



「初見で感想文を書かなきゃ」と思いながらライビュを見ていると、90分の間で作品の筋を追い、作品のテーマを考察し、演出の表現意図を裏読みし、


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宝塚って、「キャー!キレイ!」って楽しみながら見るものじゃなかったか…



子供の頃、読書は嫌いじゃないけど、読書感想文を書くための読書となると、楽しくなかったのを思い出すのです。


毎年この時期になると、読書感想文にウンウン頭を抱える小学生たちのために、こんな記事が出ますね。






「僕も大っ嫌いだったんですよ。作文は好きなんですけど、読書感想文となると、あらすじとかも面倒くさいし」と告白した。


小学校の時に「走れメロス」の感想文を「ストーリーが単純だった。58点」と書いて「こんなんじゃないんだと先生に怒られました」と告白した。


さすが三谷幸喜氏。私、子供の頃、読書感想文で本の内容を「つまんなかった」って書いてもいいんだ、ということにすら気づかなかったわ。


(本の内容をけなしたら、先生に怒られると思っていた)









「あらすじは不要。どう思ったかではなく『どう変わったか』を書く」


と説明して、大きな反響があったという。


 さらに三谷は、「冒頭は台詞で入ると引き込まれる」と書き出しは人物の言葉から始めることを推奨。


 次に「体言止めを活用」と、「『安住(紳一郎)さんは●●と言った』よりも『●●と言った安住さん』の方がリズムがあるし読みやすい」と指摘した。


 最後に「両親に感謝すれば収まりがいい」と親への感謝をつづることをすすめた。


なるほど。このテクニック、「グレート・ギャッビー」にも通じますね。


「グレート・ギャッビー」という作品自体が、三谷式感想文のセオリーにぴったりマッチしているのです。


経済学用語にもなったギャッビー




「『誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ』と父は言った。


『世間のすべての人が、おまえのように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと』」


(スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』より)


アメリカ文学の名作『グレート・ギャツビー』には、米国上流階級の若者たちの生き様が描かれている。


今年1月、米・経済諮問委員会の委員長・アラン・クルーガー氏が、格差の拡大と固定化を示すグラフを公開、これを「グレート・ギャツビー・カーブ」と名づけたことが話題になった。




・冒頭、会話から入る。親の教えに感謝している。


・タイトルが「グレートなギャッビーさん」体言止めだ。


・上流階級に近い側のニックが、「貧困からのし上がり、愛を貫いたギャッビーこそ、グレートだと思いました」と、考えが変化したことを述べている。



「グレート・ギャッビー」の原作自体が、



”ニック(風間)が語る、ギャッビー(月城)の人生についての感想文”



としてグレートだ。





そして、原作は



金持ちの家に生まれた子は金持ちになり、貧乏な家に生まれたら、貧乏な家の子が努力で金持ちになるのはとても難しい。



という残酷なテーゼをえぐっている。



デイジーがなぜ、トムから離れて、お金持ちになったギャッビーのもとへ行けないのか。


トムとギャッビーの間に、巨万の富を得てもなお埋められないものがある。


上流階級で育たなければ得られない、学歴や、芸術的素養といった文化資本の差が、デイジーを「あちらがわ」に繋ぎ止めている。


100年たっても、現代のギャッビーたちを苦しめる普遍的なテーマを描いて、経済学の用語「グレート・ギャツビー・カーブ」として生き続けているのですね。