もしもブラック・ジャックの顔に傷が無かったら
ブラック・ジャックさん、顔の傷・・・
「私、失敗しないので」のあの人とか、フィクションの世界に、天才外科医キャラはたくさんいます。
が、若き天才外科医なのに、
頭髪の半分は白髪。
顔に傷(しかも、傷に囲まれた部位の皮膚の色が違う)。
夏でも蝶ネクタイに黒いマントをなびかせ、
金持ちには法外な報酬を要求するが、貧しい人にはタダでも手術を行う。
法外な報酬をせしめる割に、崖っぷちのおんぼろ一軒家に暮らす、
無免許の天才外科医、
その名は、ブラック・ジャック。
紅子:キャラ立ちすぎやろ。
管理人:フィクションの世界だけでも、時代ごとにあまたの天才外科医キャラが生み出されたけど、
連載開始から50年たっても、コンビニのコミック売り場でブラック・ジャック名作選を売っているし、今でも天才外科医の代名詞であり続けているよね。
ブラック・ジャック ー 顔の傷 ー 半分白髪 ー 謎の黒マント
紅子:おまわりさーん。ここにただの医師法17条( 医師でなければ,医業をなしてはならない。)違反野郎がいまーす!
紅子:手塚治虫先生、医者なのにね(笑)無免許というよりは、何からの理由で医業の免許取消処分中らしいんだけど。
このブラック・ジャックという、有無を言わせぬ異形のキャラを思いついただけでも天才だよね。
管理人:が、虫プロによると、緻密な役作りで造形したキャラというよりは・・・
『ブラック・ジャック』シリーズの主人公であるハードボイルドな外科医で自らも医師である手塚治虫のある意味では分身とも言えるでしょう。
彼が問いかけ続ける「生命とは何か」あるいは「人としての幸福はどこにあるのか」という疑問こそが、手塚マンガのテーマでありました。
そのわりには、
「(最初に描き始めた時は)あの向こう傷はおろか、顔の色が違う点や時代遅れの蝶ネクタイにマントのいでたちだったり、
なぜ大金をとるのにあんなオンボロ小屋に住んでいるのか? ということなんか、これっばかりも理由を考えなかったのです」
(『漫画全集 18巻』あとがき)
紅子:・・・手塚先生、思い付きで、このキャラを造形したの!
管理人:理屈より、漫画家としての嗅覚がつかまえた、一世一代のキャラとの出会いだったのかもね。
手塚治虫氏による後付け設定によると、
白髪と顔の傷については、
「20年前、8歳のころ、不発弾の爆発に巻き込まれ、全身に重傷を負い、一命をとりとめた。そのショックで頭髪の半分が白髪になった。皮膚の色が違うのは、黒人と日本人のハーフの少年から皮膚移植を受けたため」
紅子:となると、ブラック・ジャックの年齢設定は28歳くらい?昭和20年代生まれ?もし実在していたら、相当なおじいちゃんね。
管理人:ブラック・ジャックが高額の報酬をせしめる理由の一つは、不発弾の調査を怠って住宅を建設した会社の人間への復讐のためだって。
紅子:時代を感じる設定ね・・・
管理人:戦後77年たった現在でも、不発弾の恐怖は終わっていないのよ。
77年前の沖縄戦で使われた砲弾や爆弾は約20万トン。一部は不発弾として埋もれ、戦後2千件近い事故が起き、700人以上が亡くなった。
復帰後は自衛隊が毎年500件超を処理しているが、県の推計では21年3月時点で約1906トンが残る。近年の処理ペースでは、すべての処理にあと100年近くかかる計算だ。
紅子:自衛隊の不発弾処理班の方たちは、二度とブラック・ジャックのような悲劇が起きないよう、毎日のように活躍していらっしゃるのね・・・