宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

山奥に美女を閉じ込め男装させ躍らせ正気かと言われて



「こんな関西の山奥に美女たちを閉じ込め、男装させて毎日歌わせ踊らせる……正気か?」


と、いうタイトルの記事がSNSをざわつかせております。





記事を書いたのは、書評家・文筆家の三宅 香帆(みやけ・かほ)さん。


徳島県美馬市に生まれ、3歳より高知県高知市で育ち、京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程を修了された方です。


四国という、東京や大阪在住の方から見たら、どこも山奥なエリア在住の管理人からすると、


美馬市という、四国の中でも正真正銘の山奥の出身の方が、


兵庫県宝塚市を


「こんな関西の山奥」呼ばわり・・・


正気か?💦



まあ、東京23区で育ったお嬢さんが、宝塚受験に合格して宝塚市に移住したら、山の麓だし、公用語が関西弁という時点でカルチャーショックだろうな、とは思います。「心中・恋の大和路」を拝見していると、関東出身のジェンヌは10代から宝塚市で暮らしていても、関西弁のイントネーションはなかなか身に付かないものだなあとしみじみ思いました。



まあ、タイトルは釣りっぽいところがありますが、記事の本文は上質な宝塚の紹介記事でした。


いきなり宝塚以外の話になるけれど、私は、日本の今流行っているエンターテインメントのほとんどは、「フィクション」か「アイドル」のどちらかに分類され得る、と思っている。


たとえば、漫画や映画やドラマは、虚構の物語を楽しむ「フィクション」。


対して、野球や音楽あるいはYouTubeやTikTokや恋愛リアリティーショーは、実在のキャラクターのパフォーマンスを楽しむ「アイドル」に分類できる。


同じエンタメ好きでも、フィクションとアイドル、どちらをより好きなのかは、時代や性格によって異なる。


しかし宝塚歌劇団は、「フィクション」と「アイドル」の掛け合わせで楽しむエンタメなのだ。つまり、どちらが好きな人でも楽しめる。だからこそファンをたくさん獲得できるのだろう。





宝塚の魅力は、虚構=フィクション実在=アイドルの掛け合わせで楽しむエンタメであること。


その最たるものは、実在する虚構の男、男役。



宝塚の公演の基本フォーマットは「お芝居」と「ショー」の2本立て。


宝塚のことを全く知らない「えーと、男役さんって、どんなの?なんかドキドキ💛」な方に、


映画やTVドラマと同じように楽しむことができる「お芝居=虚構=フィクション」要素で興味をひき、


「ショー=実在=アイドル」要素で圧倒することで、初心者を独特のヅカワールドにググっと引き込む。



そして、虚構=フィクションと実在=アイドルを掛け合わせた「実在する虚構」の本拠地は、


大都会日比谷でも梅田でもない、でもド田舎でもない、都市間をつなぐ私鉄の終点にある。


全国的知名度のわりに、関西人以外には、日本のどこかにあるのだろうが、正直どこにあるのかいまいちピンとこない、絶妙な山ぎわにある場所。



その絶妙な立地が、「多元宇宙(マルチバース)」というか、実在するらしいんだけど、リアル現実とは微妙にずれたパラレルワールド感を演出する、重要な舞台設定になっていると思います。


まとめ:美女たちを閉じ込め、男装させて毎日歌わせ踊らせるトレジャーヒル!は、こんな関西の山奥にあるからこそ成り立つ。