宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

ギャッビーが、一番綺麗なおばかさん「グレート・ギャッビー」感想


『グレート・ギャッビー』東京宝塚劇場での公演を、無事千秋楽まで駆け抜けられたこと、本当によかった。


管理人は、家で配信を見ていたのですが、途中で息子が入ってきて、後ろで何かしながら一緒に見ていたようで、


ギャッビーがディジーに再会


「過去は取り戻せる!」ソングを歌っているところで、


サビの最後のリフレインに合わせて


ギャッビー:過去は取り戻せる♪


息子:   過去は取り戻せなーいー♪


・・・息子よ、血は争えないね(学校の国語の授業で、先生に茶々入れてないか心配になってきた母)


「過去は取り戻せない」


小学生でも気づいている、残酷な命題。


ギャッビーは「過去は取り戻せる」と信じていた。


白鳥は、命の灯火が尽きる間際に、いちばん愛した人の名を呼ぶという。


ギャッビーは、ディジーをかばって死んだ時、緑の灯火に向かってディジーの名を呼んだんだろうな。


ギャッビーは「男の子は、きれいなおばかさんがいちばん幸せ」を体現した。


“ギャツビーは緑の灯火を信じていた。年を追うごとに我々の前からどんどん遠のいていく、陶酔に満ちた未来を。


それはあのとき我々の手からすり抜けていった。でもまだ大丈夫。明日はもっと速く走ろう。両腕をもっと先まで差し出そう。……そうすればある晴れた朝に――


だからこそ我々は、前へ前へと進み続けるのだ。流れに立ち向かうボートのように、絶え間なく過去へと押し戻されながらも


 スコット・フィッツジェラルド、村上春樹訳『グレート・ギャツビー』


ディジーは「女の子は、きれいなおばかさんがいちばん幸せ」と自分に言い聞かせている、きれいなおばかさんのフリをしている、きれいなお利口さん。


ディジーは、娘パメラのために、轢き逃げの罪をギャッビーに被ってもらって、ヨーロッパに逃げた。


ディジーは、きれいな、利口なおばあさんになって、パメラが女の子を産んだら「女の子は、きれいなお利口さんがいちばん幸せ」って言うのかな。


パメラが男の子を産んだら、孫がまだ赤ちゃんのうちにぼそっと「男の子は、きれいなおばかさんがいちばん幸せ」って言うのかな。