宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

彩みちる離婚協議中の貴婦人役で波線上ヒロイン!


スペイン内戦前夜、「月」のイメージに彩られた、鮮烈な人生を歩んだ詩人たちがいた


解説

ミュージカル・ロマンティコ

『ELPIDIO(エルピディイオ)』

~希望という名の男~

作・演出・振付/謝 珠栄   


植民地が次々と独立し、隆盛を極めたスペイン帝国が終焉を迎えた20世紀初頭のマドリード。国の将来を憂える男達が集う酒場 Camino(道)に、仲間たちからロレンシオと呼ばれる男の姿があった。


かつて死に直面しながらも命を取り留めた過去を持つ彼は、生きる意味を求め彷徨う中、この街へと辿りついたのだった。


ある夜、何者かに襲われたロレンシオが連行されたのは、軍の大佐でもあるアルバレス侯爵の館。侯爵と瓜二つの顔を持つロレンシオは偽の身分証を所持していたことで脅され、替え玉となるよう迫られる。


ELPIDIOというペンネームで新聞に詩を投稿していた彼は、それを続けることを条件に替え玉となることを受け入れるが、侯爵の妻パトリシアに偽物と見破られてしまう。


侯爵と離婚協議中であったパトリシアは福祉活動に従事しており、同じ思想を抱くロレンシオと次第に惹かれ合い、二人は恋に落ちていく。侯爵家の人々に見守られながら様々な事柄に向き合ううち、ロレンシオはようやく自らの使命を見出していき…。


弱者に寄り添うELPIDIOの詩に触発された人々が“希望”を胸に行動を始める中、この世に蔓延する嘘の在り方に対峙する偽侯爵ロレンシオは、スペインが抱える問題を如何に解決していくのか。


そして、彼の本当の名に込められた意味を見出すことが出来るのか。








主な配役
ロレンシオ/アルバレス侯爵 鳳月 杏
パトリシア 彩 みちる
~・~・~・~・~・~・~・~・
ゴメス 輝月 ゆうま
マグダレーナ 白雪 さち花
マルコス 千海 華蘭
アロンソ 蓮 つかさ
ミゲル 佳城 葵
ブルーノ 英 かおと
アマンダ 桃歌 雪
カルメン 妃純 凛
フランシスコ 彩音 星凪
マラバ 花時 舞香
セシリオ 彩海 せら
グラシェラ 天愛 るりあ
エステル 蘭世 惠翔
ロメーロ大佐 柊木 絢斗
モンテス中尉 大楠 てら
ラファエル 瑠皇 りあ
ベニータ きよら 羽龍
セサル 真弘 蓮
フリオ 和真 あさ乃



紅子:おお、パトリシア: 彩 みちる さんが破線上ヒロインに!


管理人:ふっふっふ。実は予想していたんだ♪


紅子:後出しなら、何でも言えるわよね。


管理人:だって、ヒロイン格の女性は侯爵夫人で、


・侯爵と離婚協議中


・福祉活動に従事


・いきなり、離婚協議中の夫とそっくりの顔をした男が、夫に成り済まして近づいてくる。


・男が夫の替え玉と見破る。


・男が、顔も見たくない夫に瓜二つだけど、自分と思想が同じなので惹かれていく。


・夫のそっくりさんと恋に落ちる


紅子:あらすじの1行ごとに「ありえねー」展開よね💦


管理人:離婚協議中の夫にそっくりって、夫の顔も見たくなくなったから、離婚したいのではないのか?


紅子:思想が同じなら、愛想尽かした夫と瓜二つでいいのか?


管理人:柴田先生のエッセンスを一番受け継いでいるのは、実は謝 珠栄先生だったとは。



 紅子:茶化してないで、本題。


このヒロイン格となった侯爵夫人役は、最初から彩みちるさんを想定しての宛書だったのかしら?


管理人:羽龍さんに宛書とはちょっと思えないなあ・・・ヒロインは、軍の大佐にまで出世した男の妻でしょ?


歳の差婚とか、若い妻と再婚の可能性もあるけど、


紅子:羽龍さんが海乃さんの後継となるためのヒロイン修行には、ちょっと荷が重くない?


管理人:やっぱり、最初から彩みちるさんヒロインで書いた物語っぽいと思う。



紅子:ところで、弱者に寄り添う詩を発表し続けた”ELPIDIO”って、実在の詩人なの?


管理人:そのものズバリの人はちょっと見当たらなかったんだけど、スペイン内戦前夜の緊迫した時代に活躍し、短い生涯を終えた有名な詩人がいるわ。




ガルシア‐ロルカ


(Federico García Lorca フェデリコ━) スペインの詩人、劇作家。民衆の心をとらえた詩を作り、またスペイン演劇を革新。


スペイン内戦時にファランヘ党員によって銃殺された。


作品「ジプシー歌集」「ベルナルダ=アルバの家」「血の婚礼」など。(一八九九‐一九三六)


【10/2まで東京公演上演中】舞台『血の婚礼』ダイジェスト映像/木村達成、須賀健太、早見あかり、安蘭けい


ガルシア・ロルカの三幕劇。スペインの農村を舞台にした作者の悲劇三部作の一つで、1933年に初演された。


情念に引きずられた花嫁が以前恋仲だった男と婚礼の宴から逃げ、後を追った花婿と男がナイフで殺し合う宿命劇で、象徴的な役割の月と死が登場し、散文と韻文、写実性と詩的幻想が融合した作品。





M. エルナンデス

Miguel Hernández



1910 - 1942

スペインの詩人。

オリウエラ生まれ。

オリウエラで羊飼いのかたわら文学活動を行い、詩人ラモン・シヘーの勧めで詩、宗教劇を発表。


マドリードにでて、アレイクサンドレ、ネルーダーらと友好を深め、市民戦争では共和政府側で戦い、戦後、投獄され病死する。


難解なイメージの叙情性の高い作風で、主な作品に「月の名手」(1933年)、「止まない稲妻」(’36年)がある。


紅子:どちらの作家も、代表作に「月」のイメージが色濃いのね・・・


管理人:これは、意味深なのか?