上田久美子さんに売られたケンカを買う
※タイトルは、今宙組で上演中の舞台の内容にひっかけただけです。
文章というものは、本人が書いたものでも、読者によりさまざまな捉え方があるもので、
インタビューとなると、同じ制作発表会での発言を伝える記事でも、各社表現のニュアンスは微妙に違う。
上田久美子さんの物議?をかもしているインタビューを拝読しました。
・・・
最初に記事を読んだ時の印象は、
「ウエクミ、贔屓を見るために舞台に通う人は意識低い系で、スターでなく芝居の中身を見にいく人は意識高い系と言いたいの!」
と思ったのも事実です。
個人的には、記事を3回くらい読んでみて、
「日本の演劇界は、「贔屓を推すために今月は○○回通った!○○さん素敵!」的な、スターへ耽溺するファンたちに支えられている。
私はスター主義に頼らない、中くらいのチケット価格で、幅広いファンに楽しんでもらえて、楽しかった!泣いた!感動した!だけじゃない、考えさせる舞台を作りたい」
みたいなことなのでは?と感じました。
宝塚ファンの皆さま、
「贔屓を見たいから観劇に行く」
と
「贔屓が出ていれば、脚本や演出の出来なんてどうでもいい」
ってイコールですか?
芝居の内容もちゃんと見て、今回の○○先生の作品は面白い、つまらない、と言っている人がほとんどだと思うのです。
取材を受けていらっしゃる時の上田久美子さんの頭の中には、宝塚ファンの中でも相当にヘヴィーな方たちのことが浮かんでいて、
宝塚に淫して、耽溺しているような層へ苦言を呈したのが、インタビューでは広く宝塚ファンへの苦言のようにも読める表現になったのかなあ、と思いました。
あと、ちょっと思ったのは、
上田久美子さんは、
「さすがウエクミ、泣ける!」「いいね!」
と
「なにこれ意味不明。わかんない。以上。」
の中間くらいにある、「批評」をしてほしい方なのではないかなあ、と思いました。
『FLYING SAPA -フライング サパ-』とか『f f f -フォルティッシッシモ-』を宝塚ファンに問うた時、
もっと遠慮せず、
「なんじゃあ、こりゃあ?」
と、作品を分析し、解釈したり、意味づけしたりして、
「いいね!」はいいから、自身が観客に提示した挑戦状を、ホームズのように読み解いてほしい、という欲求が強い方なのでは?
SNSが普及し、Twitterのフォロアー数が可視化される時代になりました。
みんなの「いいね!」が欲しい、と思うと、
とにかく批判せず、「うんうん、いいよねー」か、
さもなくば「コテンパン」に叩きのめす意見に溜飲を下げるか、
百家争鳴というよりは、とかく二極化しがちな傾向を感じるのです。
上田久美子さんは、プロレスで言うとヒール役をあえて買って出て、
「いいね!」に満ちた穏やかな海に波紋を立てたい!と思ってらっしゃるのかもしれません。