宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

宝塚よ「にわかに優しく」



WBC中継に学ぶ「にわかに優しく」精神


WBC、日本3大会ぶり、3度めの世界一、おめでとうございます!


昔は地上波でしょっちゅうプロ野球の試合が流れていて、日本人にとって野球のルールは一般教養のようなものでしたが、最近は地上波での中継もめっきり減りましたね。


昔に比べたら、普段野球を見ることがほぼなく、試合のルールがさっぱりわからないけれど、日本代表が出ている試合らしいから見てみよう、という本当のにわかファンも増えているのではないでしょうか。


WBCを中継するTV局も工夫をこらしていて、


最近の野球中継では、画面の左上に「野球ルール・豆知識」コーナーがあって、試合の展開に合わせて


「盗塁とは」


「ダブルプレーとは」


と「基本のき」を教えてくれたり、球筋やストライクゾーンを試合のリプレイ映像に合成してくれたり、


にわかファンに優しい解説がありがたいです。




解説では、第1回、第2回WBCでMVPを獲得した松坂大輔さんの、投手とバッターの心理のかけひきのウラを読み解くような解説が、とてもわかりやすかったです。



決勝でダルビッシュ有がマウンドに上がった8回表。ダルビッシュは相手の本塁打で1点を失う。


ダルビッシュ選手の登板が終わった時、松坂大輔さんの


「いいんです。これで」


大リーガーの強打者たちと対峙して、1点リードを守り切ったことを称える言葉が沁みました。


報道各誌の宝塚舞台評に思うこと


『赤と黒』が初日をむかえ、報道各社から美麗な舞台写真と公演評が供給されていますね。


記事の字数制限など、いろいろな条件があると思いますが、記事によっては、


「〇〇は△△役をクールに華やかに演じた。歌唱も上達した。」


いったいどんなふうだったのか、わかったようなわからないような記事もありますよね・・・


個人的に好きな公演評は、既存の熱烈な宝塚ファンの知りたいことを伝えてくれて、


かつ、


宝塚にどんなスターさんがいるのか、フランス文学の「赤と黒」とは何か、といった予備知識の無い読者が読んでも、舞台の様子が目に浮かぶような、


「にわかに優しい」記事です。


今回印象的だった、神戸新聞NEXTの記事を引用させていただきます。



厳しい階級社会にあっても、恋愛で時代を生き抜こうとする、いかにもフランスらしい物語。躍動感あふれるメロディーに乗せて、登場人物が心情をあけすけにぶちまける。


 大工の息子に生まれたジュリアンは、自分を見下すブルジョアに対する怒りを隠さない。人を利用して成り上がろうとするさまは、明るさとさわやかさが持ち味の礼のイメージと対極だが、そのギャップが意外で面白い。


2人の女性との恋の駆け引きや愛憎を歌いあげるジュリアンの視線は伏し目がちながら常に鋭く、歌声も激しい。終始、抑制の効いた表現で内に怒りを秘めた陰のある青年を演じきり、役に説得力を持たせた。



『赤と黒』の原作の簡潔にして要を得たストーリー紹介、舞台の演出の方向性の解説、登場人物の造形や心理描写の工夫などを的確に批評してくださっていて、チケットが手元に無い宝塚ファンは配信を買ってみたくなるし、


宝塚のことを知らない方が読んでも「宝塚ってけっこう攻めた演目をやっているんだな」と興味をもってくださるかもしれません。


「にわか」に優しい解説は、ディープファンにも優しい。


神戸新聞はローカル紙ですけれども、読者数の多い全国紙にも、こんな記事が増えたらいいなと思いました。