全員当たり役!雪組『ベルサイユのばら』感想2
雪組公演『ベルサイユのばら』の感想の続きです。
もうね、主要キャラがほぼ全員、当たり役でハマり役!
今回の上演にあたっては、他組での『オスカル編』上演の予定もなく、役替わりも特別出演もない。
劇団が自信を持って「今の宝塚歌劇団で上演するなら、これがベストキャスティング!」として世に出した作品ですね。
『ベルサイユのばら』とは、薔薇咲き乱れる、優美な修羅場。
宝塚のスターは、教会の宗教画やお寺の仏像のような「常人ではない」オーラが魅力の人が多いと思います。
夢白アントワネットは、ダ・ヴィンチの「受胎告知」の聖母マリアのように超然としていて、
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朝美オスカルの最期は、ミケランジェロの「ピエタ」のような荘厳な哀しみに満ち、
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縣アンドレの微笑みには、阿修羅像のように「誰かに盗られるくらいなら あなたを殺していいですか」の修羅を秘めている。
マリーアントワネット、オスカル、アンドレは劇中で、
子どものため、革命のため、オスカルのために何かを悟り、覚醒して「無私の境地」に至り、
最期は「教会の宗教画の聖人像」や「仏像」のように変容し、「あちら側」にセラヴィ・アデューしてしまった。
彩風咲奈は「偉大な、普通の人」。
劇中でフェルゼンは、諦念には達していない。
フランス宮廷の世間体?スウェーデンの外交政策?そんなもの知るか。
ただ愛する人のために走り、もがき続け、早世しなかった。
アントワネットの死後、彼は高位の貴族としてスウェーデンの政治の世界を泳ぎ、冷たい独裁者となった。
当時としては長寿の54歳まで生き抜いて、彼を恨む民衆に撲殺されるという「宝塚の舞台映えしない死」を迎える。
煩悩を捨て、悟って「サヨナラだけが人生さ」と「セラヴィ・アデュー」しなかった。ステファンというお人形を手に人生を歩き続けた。
彩風フェルゼンは、煩悩を抱え続けて生きる「こちら側」の人。
「ベルサイユのばら」という作品で、偉大な凡人「フェルゼン」を「主役」として成立させるのは、実は大変なことだと思います。
彩風フェルゼンはイケメンで超絶スタイルで、「こちら側」の人を演じてカッコイイのだ。