フランス五輪開会式でのアントワネットの扱い…
オリンピックでの一番楽しみは「開会式&閉会式」な管理人でございます。
今回もオリンピックの開会式の中継を見ていましたが、
なんだか、しみじみ
「おフランスも歳をとったなあ」
と思いました。
宝塚の舞台で繰り広げられる「フランス」のイメージと、現実世界の2024年のフランスが別物なのは、頭では分かっているのですが。
世間の「宝塚のイメージ」といえば、
・100年近く前に初演された『モン・パリ』っぽいレビュー
・50年前に初演された『ベルサイユのばら』
・越路吹雪が歌ってた『愛の賛歌』!
宝塚で「エリザベート」を何度再演しようが、フレンチミュージカルの大作を上演しようが、世間の宝塚の舞台イメージって、この50年ほとんど上書きされていないように思います。
日本の世間一般の「フランス」へのイメージも、越路吹雪がTVの音楽番組でシャンソンを披露していた頃から、そんなに上書きされていないのかなあ。
開会式のラスト、エッフェル塔でセリーヌ・ディオンが歌っていた『愛の賛歌』って、香川の農村地帯の実家の母が、カラオケでよく歌う十八番なんですよ。
母は「セリーヌ・ディオンが、越路吹雪の持ち歌を歌っているね!」と冗談を言っていましたが、
50年前のフランスのコンテンツには、農村漁村山村に住む人にもシャンソンを歌わせるほどのパワーがあったわけですよ。
あれから50年!
現代の日本人が知る、現代フランスの最新ソングって…
開会式出演歌手の1人「アヤ・ナカムラ」
Aya Nakamura - Djadja (Clip officiel)
ちょっとフランスのヒットチャートを調べてみましたが、チャート上位はアフリカやイスラムの匂いがする男性シンガーのヒップホップやラップが多数を占めていました。
Soolking - Suavemente [Clip Officiel]
ひょっとしたら、この20年「日本でいちばん商売になったフランスの音楽」は、
『1789』のドーヴ・アチアや『ロミオ&ジュリエット』のジェラール・プレスギュルヴィックのナンバーなのか?
セーヌの岸辺で繰り広げられるフレンチカンカンは、全っ然そろってないし、
せっかくレディー・ガガを呼んだのに、狭いステージ&カメラワークの悪さで、ダンサーのパフォーマンスが、NHKの「うたコン」でもできそうな、ちまちましたダンスに見えてしまうし。
ぶつぶつ言っていたら、朝の開会式振り返り放送ではほぼ触れられていない「マリーアントワネット」ですよ。
NHKの見逃し配信で見ることができますが、
中継開始から約45分後、ミュージカル「レ・ミゼラブル」の「民衆の歌」が聴こえてきた!
つい一緒に
♪戦う者の歌が聞こえるか?♪
などと歌っていると
コンシェルジュリー(処刑前のマリーが投獄されていた建物)の窓に、深紅のロココのドレスを着た女性がいる!
あれ…
首が、無い!(断面の骨とかリアル!)
マネキンが、髪を優雅に結いあげた生首を抱えている!
生首の口が、動いている!
コンシェルジュリーの窓という窓に、生首を抱えた女性がいっぱいいる!
ロックギターが鳴り響き、コンシェルジュリーの前を「たゆたえども沈まず」のメッセージを掲げた船が通り過ぎる!
ジャンヌっぽい女性が「あの女をギロチンに!」みたいな感じで煽ってる!
窓から赤いテープがパーン!🎉🎉🎉
観客が
「ウオー!」
「今も皇室が続いている」ことをある意味自慢している日本と、王制を打倒したことが自慢のフランスの、歴史観の違いをまざまざと見せつけられました。
表現の自由としてはアリだと思いますし、日本のゴスロリ系ビジュアルバンドのPVで似たような演出を見たこともあります。
ただなあ、オリンピックでこんなことをするのか、という想いもあります。
この手の演出で、マリーと共に「ルイ16世の処刑」や「ロベスピエールの処刑」もやるならまだ意味があると思うのです。
「多様性の時代」的なメッセージを掲げつつ、14歳で政略結婚させられ、子どもと引き離され処刑された女性の人権は無視して、処刑シーンを見世物にするような演出ってどうなの。