宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

NICE~は『20世紀号に乗って』へのオマージュかな?


Show Clips: "Nice Work If You Can Get It" starring Matthew Broderick and Kelli O'hara

宝塚のルーツの一つがここにあり

宝塚って『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』を始め、「禁酒法時代(1920~1933)のギャングもの」が多いですよね。


奇しくも宝塚で言えば「モン・パリ」初演(1927年)のころなんですけれど、現代に直接つながる宝塚のルーツは、やっぱり「モン・パリ」的なものでしょう。


(「宝塚のルーツは「ドンブラコ」、男役の原点は「桃太郎」、というのはちょっと違う気がする)


世界史B的に言えば、現代に繋がる大衆文化のスタイルは、1920年代にはもうほぼ出そろっていて、


1920年代には全米の家庭の7割に電気が通り、洗濯機やラジオも普及していた。サラリーマンでも、月賦で自家用車購入も夢では無かった。


平日は都心のビルのオフィスで、タイピストや電話交換手として働いて、お給料で休日にブロードウェイでミュージカルを見て、主題歌レコードを買って帰って、家で聞いて余韻にひたる。


デートは映画館に行ってチャップリンを見たり、


たまには「私を野球に連れてって」で、ヤンキー・スタジアムでベーブ・ルースを応援!


ミュージカルを宝塚少女歌劇に、野球を阪神に置き換えたら、阪急沿線のヅカファンとあまり変わらないライフスタイルがあったわけです。


で、


1929年世界恐慌で大不況、


1933年、禁酒法時代が終わる。


終わってみれば、結局何のためにあんなに大騒ぎして取り締まったり、取り締まられたり・・・お酒なんて、日本ではずっと合法だしな・・・


どこか2020年代の緊急事態下の日本にも似た、お疲れ様のアメリカでウケたのが、「スクリューボール・コメディ」



コメディ・ジャンルの一つ。1930年代なかばから1940年代前半にかけてハリウッドで盛んにつくられた。「スクリューボール」とは「変わり者」の意。スクリューボールな男女の破天荒な行動が大騒ぎを巻き起こすもので、基本は男女が最後に結ばれるロマンティック・コメディ。


作品によって社会風刺的性格が強いものもあれば、アナーキーでナンセンスな笑いが主眼になっているものもある。1934年につくられた『或(あ)る夜の出来事』『特急二十世紀』『影なき男』の3本がジャンルの発生を促したといわれている。

回るー回るよ♪ 時代は回る♪

『特急二十世紀』とは『二十世紀号に乗って』の原作映画。


ああいう、どこか間の抜けた男と、やたら気の強い女がやいやい言って、しょーも無い喧嘩をするラブコメが、1930年代、浮世の憂さ晴らしに大いにウケたそうです。



『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』はそのころのミュージカルのリバイバルかと思いきゃ、2012年初演なんですね。


21世紀になって、あえてレトロな1930年代スタイルを蘇らせたミュージカルを、スクリューボールコメディが愛されたのと似た時代の空気の中で鑑賞するのも、乙なものですね。


ちなみに、2012年トニーショーでNICE~が負けたのはこの作品



ロードウェイミュージカル「Once(ワンス)ダブリンの街角で」 観客コメント到着!


お客さんがステージのバーにあがってお酒を飲める?


そりゃ「お酒はダメよー」のNICE~には分が悪い(笑)