宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

礼真琴に『もっと男役の美学を!』ダンディズムって何?



ロマンチック・レビュー

『モアー・ダンディズム!』

作・演出/岡田 敬二


宝塚歌劇の永遠のテーマである“男役の美学”を追求する“ダンディズム”シリーズ。1995年花組・真矢みき主演の『ダンディズム!』、2006年星組・湖月わたる主演の『ネオ・ダンディズム!』に続く第三弾をお届け致します。


宝塚レビューの伝統を継ぐ品位ある華やかさと香り、そして色彩感溢れるロマンチック・レビューの世界とトップスター礼真琴を中心としたエネルギッシュな星組生との融合をどうぞお楽しみください。   


礼真琴さん、「もっとダンディズムを!」とな。


ある意味、うちの贔屓に「もっと歌唱力を!」並みに難しい宿題だなあ。



個人的に、礼真琴さんは歌唱、ダンス、演技と、透明な水晶を覗くような、不純物や混じり気の無い、純粋な技術のエッセンスの美を見せつけてくれるところが凄いと思います。


それは変なクセがなく、万人に好ましく、「嫌い」と言う人はほとんどいない、素晴らしい才能。


うちの贔屓なんて、下級生の頃から「クセがすごいよ」ぞろいだからな・・・好きな人にはたまらない発酵食品のようなもので、いつの時代も一定数のファンはいるけれど、なかなか人気ランキングでトップというわけにはいかないところがあってだな・・・


岡田先生によれば、ダンディズムとは「ダンディ♪ それは 男の美学」らしいですが、


”美学”ってなんじゃい?



TAKARAZUKA REVUE official promotional video "Passion d'Amour"


そもそも「ダンディズム」ってなんだろう?



おしゃれ、伊達(だて)に徹する態度。19世紀初め、イギリスの青年の間に流行したもので、その影響はフランスにも及んだ。

その男性の、生活様式・教養などへのこだわりや気取り。「既製服を身につけないのも彼のダンディズムの一端だ」

イギリスにおける「ダンディ」の一例が、スカーレット・ピンパーネルのパーシーだそうで・・・


あのアニマルスーツの、どこがダンディやねん!なんですけれど、




ダンディとは、時代に抗い、孤独を好み、最後は人知れず消えゆく寂しい男!?


中野さん(敬称略)「ダンディズムとは、主流に対して抵抗・反発することです。となれば、時代によって主流は変化するので、限定的にこれとこれが揃えばダンディとは定義できないんですよね。ただし、前提条件としてスーツを美しく着ていることが重要です」


── 装いに美学があるということでしょうか?


中野 「主流に対して、ただ闇雲に反発することがダンディではありません。抵抗・反抗しつつも、自分のルールや美学を持ち、それが装いにも現れるのです」

SNS全盛の時代に、「いいね!」を増やそうと思うと、ある程度万人受けする、空気を読んで”わきまえた”スタイルのほうが「そーだ そーだ」と思ってもらえそうだけど、


他人の「いいね!」より、自分の「いいね!」の声に正直に生きる、というのは、なかなか大変。


イギリスにおける「ダンディズム」の体現者、オスカーワイルドの人生も、時代に抗い、孤独を好み、最後は人知れず消えゆく寂しい晩年となってしまいました。


美学とは、薔薇の花のようなもの


日本語の「美学」はもともとドイツ語のÄsthetikの訳語で、森鴎外(おうがい)はこれを「審美学」と訳し、


三島由紀夫によれば、「美学」とは

内側と外側、たとえば人間を薔薇(ばら)の花のように内も外もないものとして眺めること

田舎の公立学校では、生徒がおしゃれに目覚めかけると、先生から「外見より内面を磨け!」と説教されがちなんだけど、


外見と内面とは相反するものなのだろうか?


ダンディズムとは、外見と内面を、花びらの裏と表がないまぜになった薔薇のように美しい存在として統合したい、という不断の挑戦なのかもしれない。


透明な技術の先に、どんな”男役・礼真琴”の、情熱の真っ赤な薔薇を咲かせるのか?