宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

だいもんの魔女!”普通ではない”ミュージカル『INTO THE WOODS』

望海風斗、外部での初のお役は「魔女」!






熊林弘高コメント

キーワードはです。夢というものはおとぎ話や神話と非常に似通っていると、精神科医・心理学者のユングは言いました。


登場人物たちにとって、森は夢であり、無意識であり、心の影です。それを乗り越えることで、人は成長していきます。


アンドレイ・タルコフスキーの映画に、家の中で雨が降っているシーンがしばしば出てきますが、あの雨のように、このミュージカルの森には、あらゆるものを侵食していくイメージがあります。


そして、最後にひと言。普通のミュージカルではありません!




~おとぎ話でも、ヒーロー話でもなく、人が生きていくことの「業」がテーマの物語~


童話に新しい解釈を与え、大人向けファンタジーとして創り上げたミュージカル『INTO THE WOODS』。


登場するのは、魔女に呪いをかけられたパン屋の夫婦と、赤ずきん、シンデレラ、ジャックと豆の木のジャック、ラプンツェルなど、おとぎ話の主人公たち。それぞれの物語が交錯し、「森」の中で新しいストーリーが展開されます。


人は、自分のために、家族のために、友人のために努力し必死に生きていますが、どこかで知らない誰かの人生が、その犠牲になっています。お互いの犠牲なくしては人間の世の中は成り立ちません。


本作には、誰もが良く知るおとぎ話の主人公たちが登場しますが、彼らの成功人生でさえ、やはり誰かの犠牲の上に成り立っており、彼らの人生にも、当然そのような人間の世の中の現実や、業が存在しています。


劇中では、主人公たちの「I Wish(願い)」をのせた言葉がめまぐるしく繰り出され、家族の絆や社会の矛盾といった様々なテーマを織り込みながら、人が本質的、普遍的に持つ「人間の業」を描きます。


森の中へ 森の中へ 行ってみたいと思いませんか♪




映画『イントゥ・ザ・ウッズ』予告編



紅子:望海風斗さん、所属事務所決定&ミュージカル出演決定おめでとうございます!


・・・


いや、営業妨害するつもりは全くないんだけど、演出家がしょっぱから「普通のミュージカルではありません!」て宣言するって・・・



管理人:うん・・・管理人は映画版を見ただけなんだけどさ、確かにフツーの「イケメン主人公が悪を倒し、美しいヒロインをゲットする」話ではないわ。


『INTO THE WOODS』ユングの心理学では童話の世界の「森」は、人間の理性の秩序の及ばない、主人公が迷い込んで「方向を見失う」、人の無意識の世界の象徴みたいな場所なのね。


90年代に「本当は怖いグリム童話」という本が流行ったんだけど、世界中の昔話や神話は、「子供に道徳を教えるための教訓話」というには残酷すぎる話も多くて、


初版当時のグリム童話などは母親(継母でなく実母)が子供を捨てたり、虐待したり、子が親を殺したり、近親相姦したり・・・


紅子:昨今のコンプラ全盛の時代のTVドラマよりぶっ飛んでいそうね・・・


管理人:で、スイス の 分析 心理 学者 ユング は、このような「本当は恐ろしいグリム童話」の中に、人間の「普遍的無意識」が潜んでいるのではないか、と考えたわけよ。
 

スイス の 分析 心理 学者 ユング は、 世界中 の 昔話 や 神話 に 共通 し て、 この よう な 典型的 な イメージ が 存在 する こと を 重視 し た。 


そして、 それ は、 彼 が 心理療法 に 専念 し て いる 間 に 患者 から 得 られる 夢 や 妄想 などの 内容 にも 共通 し て 見 られる こと に 気づい た ので ある。   


そこで 彼 は 人間 の 無意識 を 個人的 無意識 と 普遍的無意識 に わけ て 考える こと を 提唱 し た。 つまり、 人間 の 無意識 の 深層 は 人類 に 共通 の 普遍性 を もつ と 仮定 し た ので ある。


河合隼雄. 昔話の深層 ユング心理学とグリム童話 (講談社+α文庫)


なぜなら世界の神話に共通する内容のある部分は,そういう神話をまったく知らぬ人が見る夢の中にもしばしばよく似た形で現れることが,深層心理学者たちによって注意されている。


この事実に注目した,スイスの心理学者C.G.ユングは,人類に共通する〈普遍的無意識〉collective unconsciousの存在を想定した。


そして夢や神話やさらにおとぎ話などにも共通して見いだされる表象や筋は,彼が,〈元型archetype〉と呼び,〈ペルソナpersona〉〈影shadow〉〈アニマanima〉〈アニムスanimus〉〈自己self〉〈太母Great Mother〉など,いくつかの類型に分類を試みている,この〈普遍的無意識〉の働きによって,生み出されると考えた。


『INTO THE WOODS』というお話は、たとえばハーバード大学の心理学の授業で「昔話の深層 ユング心理学とグリム童話」という授業があって、


その受講生の超頭のいい学生が、授業で学んだ成果をもとに作った学生演劇「本当は恐ろしいグリム童話~童話に隠された人間の普遍的無意識」を見ている感?


客の側も、「ああ、この麻美れいさんの声のみ出演の<巨人>は、〈影shadow〉か、荒ぶる〈太母Great Mother〉か、とか考えながら見たら面白い・・・かも・・・



紅子:覚悟して臨まないと、マイ初日に「チケット10枚も買ったのにどうしよう!」になるかも・・・


管理人:初見の作品を見る前は、ネタバレがいやだから一切予習しません!派の方も多いと思うんだけどさ、この作品についてはWikiなりでユングの心理学について予習したほうが『Into a Dream』にならない・・・と思うわ。