宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

欧米圏で宝塚公演をする際の問題点がありすぎる



宝塚は90年代はニューヨーク、ロンドン、ベルリンなど欧米圏で、各組から歌手・ダンサーを選抜して海外公演をしておりました。最近はアジア圏ばかり。


そろそろ欧米公演をするなら…ニューヨーク、ブロードウェイ!おお、舞台人なら憧れるねえ。


ウイーン劇場協会の劇場で、宝塚版エリザ凱旋公演はどうだろう。現地の観客も字幕なしでも脳内翻訳してくれそう♪


もちろん実際に海外公演をするとなると、歌手・ダンサーを組を超えて選抜できるような余裕があるのかどうか、といった問題がありますが、


最近は更にややこしい問題が出てきました。

文化の盗用問題

Wikiによると「ある文化圏の要素を他の文化圏の者が流用する行為」だそうです。


最近はファッションショーでデザイナーが異文化(いわゆるエキゾチックと言われるアラブ、アフリカ、インドなどのデザイン)にインスピレーションを受けた作品を発表すると、


その文化意匠を継承してきた少数民族への迫害の歴史を無視して、デザインの上澄みを盗用して金儲けに利用している!などと批判の声があがり、企業がコメントを出す、という事態が頻発しております。


宝塚のショー作品・・・アフリカンビートとかラテンのシーンとか、大丈夫なんだろうか。


エルハポンの時代にはフラメンコはまだ無かったらしいんだけれども、ロマの方が見たらどう思うんだろうか。


黒塗り問題

最近は白人や東洋人が、肌を黒塗りして黒人の真似をするのはNG,ということになっております。メトロポリタンオペラでも、シェイクスピアの「オテロ」(主役は黒人)の役を非黒人がやる場合は黒塗りせず演じるようになりました。


宝塚のショーに出てくる「踊る紳士・淑女」あの方たちはどこの人なんだろう・・・


現代の日本人男女を模しているものではない気がするけれど、東洋人が白人を模することはOKなんだろうか。


ラテンの場面で濃い目の肌色にするのはOKなのだろうか。



女性が男性役をやっている問題

そもそもすぎますが(笑)日本で日本人に宝塚を紹介する際には、自明のこと過ぎてあまり意識しないけれど、21世紀に女性があえて男性に扮することには、ジェンダーとかフェミニズム的観点からのメッセージ性があるべきなのだろうか。

「だってカッコイイんだもん」で納得してくれるのだろうか。

「私だけに」=メーガン流?

最近冷えますね。うどん県民の冬のお昼はセルフのうどん屋でしっぽくうどん。食後は出がらしの味のしないお茶をすすりながら、お店のテレビでワイドショー鑑賞。よその国の王室の話は気軽に見れて楽しいねえ♪


夜、録画していた某組のエリザ鑑賞。


「ありのままの私は 宮殿にはいない♪ 誰にも束縛されず 自由に生きるの♪」
・・・メーガン流?・・・そういえばエリザさん病院訪問以外の公務は?取り返した子供の世話は誰が?旅費は誰が払っているの?


エリザが「私だけに」を歌っている時点で、エリザ16歳。ゾフィー48歳。


あっ、私ももうゾフィー世代だ (‘Д’)最近ゾフィーの言うことにも一理あるわ、と思うようになってきたわあ、あんなに憎々しかったのに(笑)これが年齢を重ねるということなのねえ。

東京宝塚劇場はなぜ日比谷にあるのか

宝塚歌劇が温水プールの失敗から生まれた話は有名ですが、昭和9年にできた東京宝塚劇場は、なぜ戦前の娯楽の中心の浅草ではなく、日比谷のオフィス街にあるのでしょうか


中川右介著「松竹と東宝」によると、「東電の経営に携わっていた小林一三が、東電がNHKに売却しようとして頓挫した土地を、私財で買い取ったから」だそうです。


戦前宝塚ファンの女学生だった祖母が、興味深いことを言っていました。


戦前の女学校は校則がとにかく厳しくて、女学生だけで映画館に行ってはだめ、歌舞伎も遊郭が出てきて教育に悪いから見てはだめ。浅草に女学生だけで行ったら先生に補導される。・・・


つまり浅草は女学生同士で連れ立って行きづらい環境だったのでしょうね。


そんな中、宝塚は「立派な財界人がやっている、女性だけの劇団だから」「治安のいい立地にあるから」という理由で、女学生だけで行っても叱られなかったそうです。


女学校は良妻賢母になるための修行の場、女性が恋愛に興味を持つのははしたない、とでも言いたげな窮屈な風潮の中で、自分と同年代の男装の麗人が星よ、すみれよと歌い踊る。


少女による歌劇であり、「これは私たち少女のための歌劇だ」と思ったそうです。


さらにこの歌劇人気は当時全国の女学生が愛読していた「少女の友」などの少女雑誌で紹介され、それを読んだ当時おさげ髪の瀬戸内寂聴さんが、徳島からフェリーに乗って宝塚まで遠征する、というほどの全国区の人気になっていたそうですよ(笑)

宙組「アクアヴィーテ」感想

アクアヴィーテの振付「ANJU」のタンゴの場面、男役ばかりの酒場で真風さんが煙草を奪い合い、紫煙を吹きかけあうシーン。小池先生が宝塚版「ワンス~」では「無残にむしり取られた深紅のバラの花びら」ですみれコード的に暗喩しているのだろう血と性と阿片の匂いを「つまりこういうことでしょ」と5分で魅せた男役の身体の向こうに、かつての安寿さんの姿が見えるようで。


ふと小池先生は四半世紀前に安寿さんで「ワンス~」の上演を夢見たことがあったのかな、と思いました。(1993年に安寿さん主演で「ベイシティ・ブルース」というギャングもののお芝居を宛書しているんですけどね)

「スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け」ラストシーンの感想

「スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け」を鑑賞。


ラスト、すべてが始まったあのタトゥイーンで
「あなたの名前は?」と問われたレイは
「レイ・スカイウォーカー」と名乗る。


この映画の公開イベントで海老蔵とかんげん君がスターウォーズ歌舞伎をやっていたのを思い出した。そういえばもうすぐ海老蔵は市川團十郎の名跡を襲名する。


歌舞伎の魅力は「血と家と芸」だという言葉がある。


このスターウォーズ・サーガはスカイウォーカー一族のジェダイ襲名を巡る物語でもある。


名跡は基本的に父から子へ受け継ぐが、血縁を超えた襲名もある。


家の芸には映像に残せるものもあるし、映像ではわからない役の性根、心得といったものも含めての概念である。


レイは血縁を超えてジェダイという名跡を襲名したんだなと思った。